独立したら国民年金に切り替える?
会社に雇用されていると、社会保障の一環として、会社が社員を厚生年金に加入させています。しかし会社をやめてフリーランスになった場合、年金はどのようになるのでしょうか?
フリーランスは国民年金を自分で支払う
日本国内に住んでいる場合は、20~60歳まで誰もが国民年金に入ることが決まっています。その中でも自営業者の場合は、国民年金の『第1号被保険者』に属することになるのです。
『国民年金の第1号被保険者』とは、厚生年金に加入しておらず、国民年金を自分で払っている人です。フリーランスになった場合は、国民年金を全額自分で払わなければなりません。
扶養という考え方がなくなる
社会保険に加入している人の配偶者などの『被扶養者』は、税金の軽減や保険料の免除といった恩恵が受けられます。
しかし、フリーランスになった場合、社会保険からは外れ、国民年金と国民健康保険に扶養という考え方ありませんので、被扶養者の保険料を全て支払わなければなりません。
免除、減額の制度を用意
国民年金や国民健康保険料を、すべて自己負担するのが大変という場合もありえます。収入の減少によって資金繰りが苦しくなっている場合、国民年金の免除制度が利用可能です。
国民年金は全額免除と一部免除があり、国民健康保険については、2割・5割・7割の軽減制度が用意されています。年収によって免除額・軽減率が決まるしくみで、一定以上の年収がある場合は適用されません。
会社員からフリーランスになる場合の手続き
会社員からフリーランスになる場合、厚生年金から国民年金に切り替えなければなりません。その手続きの方法について紹介します。
自治体の年金課で手続きをする
会社をやめた場合は役所へ行き、年金課で切り替えの手続きを行いましょう。その際に以下のものを持って行く必要があります。
- 年金手帳または基礎年金番号通知書
- 離職・退職証明書など退職年月日を証明できる書類
離職票がない場合でも、窓口で退職した旨を伝えれば調べて対応してくれます。
厚生年金は任意継続できない
健康保険は任意継続できますが、厚生年金は任意継続できませんので、退職したら必ず国民年金に切り替える手続きが必要です。
厚生年金とは、雇用している会社が半額を支払うことが原則となっています。会社をやめた場合、雇用側は半額を支払う義務がなくなります。そのため厚生年金を任意継続することはできないのです。
年金の保険料は経費にできる?
年金の保険料として支払った費用は、フリーランスが事業所得を計算する際に経費にすることはできません。ただし確定申告をする際に、国民年金の保険料は『社会保険料控除』として扱い、所得から控除することが可能です。
老後の備えが必要
厚生年金と比べて、国民年金の給付額は少なく、2019年5月時点では以下のようになっています。
- 年額77万9300円(満額)
- 65歳から支給
支給される年齢の引き上げや、給付額が減額される可能性もあり、老後に不安が残る人も少なくないでしょう。フリーランスは年金以外にも老後に備えが必要であると言えます。
老後の備えのために、どのような対策をしておけばよいのかを説明します。
国民年金基金の活用
フリーランスの老後対策として、『国民年金基金制度』の活用を考えてみましょう。
国民年金基金を使えば、自営業者など、国民年金の第1号被保険者の老後の給付額を増やすことが可能です。老齢年金と遺族一時金の二つがあり、掛け金についても自身で調整することが可能です。
老後の備えの一つとして検討してみるとよいでしょう。
iDeCoや個人年金への加入
iDeCo(イデコ)は、老後資金を作るための制度の一つです。60歳まで一定の掛け金を支払い、その掛け金で投資信託や定期預金などの資産運用を行うことで、60歳以降に、運用した資金を受け取ることができるという制度です。
ただし資産運用の内容次第では、掛け金を下回ってしまう可能性があるので注意が必要です。逆に元金より大きな金額がかえってくる可能性もあります。
また個人年金保険は生命保険の一種で、民間の保険会社と契約します。選ぶ保険によっては、安定した給付が望めるので検討してみましょう。
まとめ
会社をやめてフリーランスになった場合、国民年金への加入手続きが必要です。厚生年金の任意継続はできないので、早めに役所に行って手続きを行いましょう。
年金額に不安を感じる人は、国民年金基金制度の利用や、iDeCo、個人年金保険の加入を選択肢に入れても良いかもしれません。フリーランスが安定した老後を送るために、今のうちから対策をしっかり練っておきましょう。