税理士をつけるメリットとデメリット
作業時間が勝負になるフリーランスにとって、時間も手間もかかる確定申告は毎年頭を悩ませる頭痛の種なのではないでしょうか。そんな面倒を回避する方法として、税理士に依頼するという手段があります。最初に、税理士をつけるメリット・デメリットについて解説します。
税理士をつけるメリット
税理士に確定申告を依頼するメリットとして何よりも大きなことは、正確な申告ができるということです。確かに今はインターネットで調べたり簡単な申告のやり方が掲載されていたりもしますが、やはり間違いは起こってしまいます。
自分で作成する手間がかからないだけではなく、個人で行うよりも確実に申告ができ、かつプロの豊富な知識で節税にももなるので、税金にまつわる知識があまりないフリーランスならば、税理士に依頼するメリットは大きいと言えるでしょう。
税理士をつけるデメリット
税理士に依頼するデメリットの中でも、やはり費用がかかることがもっともネックとなる部分でしょう。まだ仕事を始めたばかりで収入の少ないフリーランスにとって、税理士への依頼費は高額出費となり、二の足を踏む人が多くいます。
さらに税理士に依頼したからといって、書類のやり取りの手間はかかりますから、確定申告や税金関係に関する仕事が全くなくなるというわけでもありません。
税理士を付けることはメリットもあればデメリットもありますので、自分の財政状況・仕事事情などを複合的に見極めて考えてみてください。
榎本希
フリーランスにとって経理については頭を悩ませる事も多い部分です。
特に開業した初年度については開業費の扱いなど分からない部分も多いため相談したい場面は多くなります。
税理士に依頼することにより、このような記帳の手間や開業費の取り扱いなどの不明点や確定申告書類の作成などの手間や不備がなくなるのは大きなメリットとなります。
また、税理士に依頼することで節税の対策についても相談することも可能です。
一方で、開業してすぐはなかなか収益が出にくい部分もあるため、費用面で税理士への報酬負担があるのはデメリットといえるでしょう。
相談や依頼費用の相場
税理士に依頼する場合に、相談料や依頼費用・顧問費用などが掛かります。ここからは、それらの値段相場について見ていきます。
相談費用の目安
税理士に相談する場合、30分までであれば無料で対応してくれるところがほとんどです。お試し時間のようなものなので、確定申告のことで聞きたいことがあったり、今後税理士を探すか迷っていたりする場合は、何人かの税理士に相談してみましょう。
記帳や申告のみの目安
準備ができており、確定申告の代行のみなら数万円で済みます。記帳して仕訳が必要な場合、仕訳の数によって数千円~の追加料金が発生するため、仕訳と申告書の作成を1年分まとめて任せる場合は、10万円程度になるところがほとんどです。
顧問費用の目安
依頼側の年収が上がると、それに比例して税理士の料金も高くなります。年収が1000万円以下であれば、顧問契約を結んで月に1回訪問してもらう場合で、月額3万円程度となり、年換算すると30万~50万円ほどになります。
ちなみに、訪問して仕事をしてもらわない『記帳代行』をお願いする場合は、月額1万円程度で押さえられることもありますので、相談してみましょう。
榎本希
相談については初回は無料という事務所も最近では多くなっています。
正式に依頼をする場合には顧問契約をする場合や単に記帳のみを行ってもらう場合や、確定申告の際の書類作成のみを依頼する場合などケースにより異なります。
報酬については相場はありますが、事務所により変わってくる部分も多いので、何件かの事務所をピックアップして料金体系と報酬額を聞くことと併せてその税理士さんと自分の相性も考慮した上で自分に合った税理士さんに依頼をすると良いでしょう。
フリーランスが顧問税理士を考えるとき
何となく相談だけで大丈夫そうだという人もいれば、顧問税理士を立てようかという人もいるでしょう。では、フリーランスが顧問税理士を考えるときはどんなときなのでしょうか。三つのケース別に見ていきます。
青色申告特別控除を利用したいとき
起業直後のフリーランスならば、収入がそれほど多くない時期もあるでしょう。そんな際は、白色申告で確定申告を行っても不都合はありません。
ですが徐々に規模が大きくなり所得区分が税率10%以上になってくると、青色申告の特別控除を行ったほうがメリットがあります。簿記の知識のないフリーランスならば、簡単な申告の白色と異なり、青色は知識が必要なため少々難しい作業となります。
そんなときに、顧問税理士を付けて月々の所得計算を行ってもらい、最終的な申告を青色申告で行うと便利です。
青色申告専従者控除を利用したいとき
確定申告を青色申告で行うと、青色申告専従者控除が利用できます。青色申告専従者控除とは、配偶者や同居の親族に支払った給与金額を、事業所得から控除するしくみのことです。こちらも同様に、申告には事業所得に関する知識が必要となります。
規模が拡大して所得が増え、青色申告を行って控除をしたくなったときが、報酬を支払っても顧問税理士を付けるべきタイミングといえるでしょう。
融資や手続き煩雑化で必要になったとき
事業拡大に伴って、金融機関から融資を受けるケースもあります。この場合、金融機関の審査を受ける際に貸借対照表や損益計算書等の財務諸表の提出を求められます。これらの資料を税理士に作成してもらう必要があるのです。
財務諸表は数字が正確なものだと信じてもらえない限り、融資はされにくいのです。税の専門家である税理士が作成したものと証明できれば、融資の審査が通りやすくなります。
雇用する従業員の数が増加するのに伴い税の手続きが煩雑化した場合も、顧問税理士を付けるべきタイミングが来たと考えられます。
まとめ
フリーランスが行う税務処理は、どうしても時間がない中でなされることが多く、ミスも起こりやすくなっています。手続きが面倒になってきたり、処理が大変になってきたら、税理士のメリットを考えて検討してみるのもおすすめです。