副業した場合の住民税の徴収について
副業をするときはさまざまな税金について理解しておかないと予期せぬトラブルが起こってしまいます。
後々にペナルティとして追徴税が発生するケースもありますので、どんな税金を支払わなければならないかは、副業をする上で理解する必要があります。
今回は『個人住民税』について理解しましょう。
普通徴収と特別徴収とは
『住民税』と呼ばれることが大半ですが、個人に対して課税されるものは個人住民税といいます。
個人住民税は、『個人都道府県民税』と『個人区市町村民税』に分けることができ、納付方法は二通りあって『普通徴収』と『特別徴収』と呼ばれます。
『普通徴収』とは自分で年4回に分けて納付する方法で、『特別徴収』とは企業が給与から税額分を預かって毎月納付する方法です。それぞれのメリット・デメリットを紹介します。
普通徴収のメリットとデメリット
普通徴収のメリットは、『前納報奨制度』が適用されれば、上限で税額の1%が節税できるというところです。
前納報奨制度とは、最初の納期に全期分を前納した場合は条件を満たすと一定の金額が差し引かれた税額を納めるとよいという制度のことをいいます。
普通徴収のデメリットは、前納報奨制度を利用するためには年間の個人住民税を一括で支払わないといけないため、一時的に負担が大きくなることです。
さらに、現在(2019年時点)では前納報奨制度を廃止する区市町村が増えてきているので、普通徴収のメリットを享受できない可能性もあります。
特別徴収のメリットとデメリット
特別徴収のメリットは、給与から天引きされるので、個人住民税を払い忘れるという心配がないことが挙げられます。また、毎月納めるので、1回当たりの税額が少なくて済みます。
特別徴収のデメリットは、雇用者の給与から預かって毎月納付する企業の事務手続きが負担になるということです。
また、企業に副業をしていることを知られたくない会社員は、副業分の税額を普通徴収にしないとズレが出てくるので不都合が生じるでしょう。
榎本希
副業を行った場合、副業の所得が20万円以下であれば確定申告は不要ですが住民税の申告は必要です。
確定申告の際にも記載する住民税の徴収方法には「普通徴収」と「特別徴収」があります。
普通徴収は自治体から納付書が送られてくるので、その納付書を利用して住民税を納付する方法です。自分で納付するため、手間はかかりますが副業を知られたくない場合にはメリットがあります。
特別徴収は会社の給与から天引きされることにより納付する方法です。
給与から天引きされるため、自分で納付を行う必要がないので手間はかかりませんが、副業を知られたくない人にとっては住民税の増加で副業が会社に知られてしまう可能性があるというデメリットもあります。
普通徴収への切り替えについて
副業が企業に把握される可能性について触れましたが、給与以外の所得は普通徴収で納めるという選択もできます。普通徴収の選択の仕方を紹介しましょう。
普通徴収にするには
副業に対する個人住民税を普通徴収で納めるためには、確定申告するときに個人住民税の納付方法を「自分で納付(普通徴収)」にします。
すると、個人住民税の納付書が自宅に届くようになるので、企業に副業のことを知られる可能性は低くなるでしょう。なお、もう一つの選択肢である「給与から差引き」を選択すると特別徴収となります。
榎本希
住民税の徴収方法を変える手続としては確定申告の際に、住民税の徴収方法の欄で「普通徴収」を選択する必要があります。
しかし自治体によっては特別徴収を推奨している自治体もあるため、普通徴収を選択しても特別徴収になる可能性もあるため、心配な方は市区町村の窓口もしくは電話で確認をすると良いでしょう。
普通徴収できない場合とは
企業に隠して副業している場合は副業分の税額を普通徴収で納めるとよいといいましたが、三つのケースだと普通徴収ができないので特別徴収として手続きされるので注意しましょう。
具体的には以下のケースが挙げられます。
- 副業が給与所得の場合
- ふるさと納税や住宅ローン減税などの控除を使う場合
- 赤字申告の場合
副業のことが企業に知られてしまう重要なポイントですので、詳しく説明します。
給与所得の場合
普通徴収にできるのは「給与・公的年金等にかかる所得以外」となっているので、アルバイトといった給与所得の場合は自動的に特別徴収扱いとなるケースがあります。
ただし、区市町村によっては給与所得であっても普通徴収として扱ってくれる場合があります。
とはいえ、給与所得は特別徴収として扱われることに注意したほうがよいでしょう。どうしても企業に副業のことを通達されたくなければ、アルバイトは避けたほうがよいです。
控除を使う場合
また、区市町村によって、対応が異なるようなのですが、「副業所得によって生じる個人住民税額」が「控除の金額」より小さい場合は特別徴収となるケースがあります。
このときの控除とは、『ふるさと納税』や『住宅ローン減税』などのことをいいます。多くの控除を受ける場合は気をつけたいところです。
赤字申告の場合
『赤字申告』の場合は、普通徴収されません。赤字である場合は、個人住民税を還付する必要があるので、給与所得などで特別控除があるときはその税額を小さくしようとします。
個人住民税が少なくなるので、得することになるのですが、そのことをきっかけにして企業に副業していることが知られることになります。
榎本希
住民税の徴収方法については自治体により対応にバラツキがみられます。
原則特別徴収とし、例外的に普通徴収とする自治体、特別徴収を徹底するとしている自治体など様々です。
そのため、一概にこのケースならば普通徴収ができる、できないとはいえません。
住民税の徴収方法については自治体のHP等にも記載されていますので確認をするようにしましょう。
自分で確認を行ってもよく分からない場合には自治体の窓口や担当部署へ電話などにより確認を行う方が良いでしょう。
まとめ
副業を考えるのならば、普通徴収と特別徴収の違いは知っておいたほうがよいでしょう。
企業によって副業に対する考え方は異なりますが、個人住民税によって隠していた副業が公になることは避けたいところです。副業をするときは上司に相談して理解を得られるとよいでしょう。