フリーランスに必要な老後資金とは
事前対策を取る前に、老後にどれだけの資金が必要なのかを把握しましょう。
必要な老後資金の目安
一般的な目安として、老後に必要な資金は約3000万円といわれています。ただし、フリーランスのような自営業者は退職金がないことを考えれば、もっと多くの資金が必要になるでしょう。
老後資金の見解は専門家によって異なりますし、人それぞれですので、あくまでも目安として捉えるようにしましょう。とはいえ、何千万円ものお金が必要ということは間違いありません。
出典:老後資金「3000万円必要」説は本当か | 老後のお金クライシス! 深田晶恵 | ダイヤモンド・オンライン
国民年金だけでは不安
国民年金の支給額は、厚生年金に加入している場合と比べるとかなり少ない金額です。
厚生労働省が発表している『平成29年度厚生年金保険・国民年金事業の概要』を参考にすると受給金額の差がはっきりわかります。
会社員などが受給する厚生年金の月額平均は平成29年度末で14万5000円となっていますが、一方の国民年金の月額平均は5万6000円です。
国民年金の受給額を年間で考えると60万円程度で、それを30年間もらうとしても1800万円にしかなりません。必要な資金の目安と比較しても、やはり国民年金だけでは老後資金の対策として十分であるとは言えないでしょう。
老後のために知っておくこと
老後の生活への不安をなくすには、国民年金以外の事前対策を考える必要があります。ただし、その前に生涯収支を算出してみることが重要です。
生涯収支を計算してみる
日本人の平均寿命は上昇し、90歳や100歳が当たり前になってきました。生涯収支を考える際も、90歳まで生きることを前提に考えてみましょう。
現在から90歳までのお金の流れを、その年ごとに書き出してみると効果的です。結婚や出産、趣味なども含めて自分の人生におけるイベントを書き出しましょう。
人生のイベントを予測することで生涯収支を計算しやすくなります。
生涯収支の算出方法
みずほ証券が提供する、『あしたのおかね』というシミュレーターを使用すれば、生涯収支が簡単に計算できます。
入力する内容は5項目だけとなっており、それぞれに自分に該当する内容を選択すれば、数分程度で生涯収支の目安がわかります。計算終了後は現在の収入状況や退職金の有無、金融資産について細かく更新が可能です。
より具体的に算出したいときは、現状を細かく入力して再計算してみましょう。
フリーランスの老後対策
生涯収支がわかったら具体的な老後対策に移ります。ここからは、フリーランスが行える老後対策を3つ紹介します。
付加年金
付加年金とは国民年金の保険料に月額400円を上乗せして支払う制度です。保険料を上乗せすることで、将来もらえる年金受給額を増やすことができるのです。支払う保険料は400円とわずかなため利用しやすいでしょう。
受け取るときは年間で『200円 × 付加保険料の支払月数』の金額がもらえます。例えば、40年間付加保険料を支払うと480カ月分が支給されます。
この場合の年金支給額は、480カ月 × 200円で、年額9万6000円増えます。月額にすれば8000円の支給が上乗できる計算です。
国民年金基金
国民年金基金は年齢と性別により掛け金(保険料)が決まります。1口から自由に口数を増減させて掛け金を支払うことが可能です。
1口目はA型かB型から選びます。A型は15年の『保証期間』がついており、加入者が年金支給開始から15年以内に死亡した場合は遺族に一時金が支払われます。対するB型に保証期間はありません。
2口目以降は4つのパターンから選んで掛け金を支払います。60歳から支給開始となるものもありますので、国民年金支給までの資金として利用可能です。
ちなみに、付加年金も国民年金基金も保険料は『全額所得控除』となります。節税対策にもなり、老後資金の備えにも有効ですが、途中解約ができない点は注意が必要です。
小規模企業共済で退職金をもらう
年金受給額を増やすだけではなく、退職金を視野に入れたいなら『小規模企業共済』を検討しましょう。
フリーランスに退職金はありませんが、事業をやめるまで積み立てをしておくと退職金として受け取ることが可能です。
加入の手続きは商工会議所や銀行など委託団体で行います。手続きの際は確定申告書の控えも持参しましょう。
掛け金は1000円から500円単位で、最大7万円まで自由に設定することができます。途中の増額はいつでも申請できますが、減額するには売り上げの減少や疾病、病気などの理由に限られます。
小規模企業共済の掛け金も全額所得控除の対象です。年金として受け取るときも、『公的年金等の雑所得扱い』として控除対象になります。
まとめ
フリーランスは国民年金のみの受給では老後に不安が生じます。現在から将来に至るまでの生涯収支を趣味レーションし、老後資金を考えることが大切です。
老後に向けて付加年金や国民年金基金、小規模企業共済を検討して、事前対策を行いましょう。