フリーランスに節税が重要な理由
フリーランスは会社員のように、固定の給与控除額が定められていません。そのため正しく経費や控除を申請すれば、支払う税金が減らせます。
自己判断で節税できる働き方だからこそ、正しい知識を身につけましょう。資金の維持や、お金の流れも把握できます。
資金を保つことができる
支払う税金の額が少なくなれば、資金を保てます。同じように医療費や生命保険にお金を支払っていても、申告しなければ節税にはなりません。
何が節税につながるのか把握すれば、その分支払う税金が減ります。必要のない支出を減らして、資金の維持に努めましょう。
支出を把握、管理する習慣がつく
まずは、自分がどのくらいの税金を支払っていて、何にお金を使っているのか把握しましょう。節税できる部分がわかれば、支出の管理につながります。
生活費だけでなく、フリーランスとして働いていると事業に使うお金も管理が必要です。適当に使ってしまうと、税金や生活費の判断が難しくなります。
事業や生活費に回すお金を管理するためにも、どのくらい使っているのか把握しましょう。
会社員と違い、フリーランスは税金の支払いがあとから発生するケースもあります。いつ、どのくらいの税金を支払わなければいけないのか把握しておくと、貯金しておくべき金額も予想がつくでしょう。
榎本希
フリーランスの場合、事業に使ったお金とプライベートに使ったお金の区別の感覚を掴むまでは難しい面もありますが、事業のお金の流れを把握することは節税対策をする上でも、事業の経営状態を把握する上でも大切になります。
仕事をして得た報酬から経費を引いた金額が純利益です。どんなに報酬があってもその分経費がかかりすぎていては純利益は少ないということになります。
経営感覚を身につける上でも節税に対する意識は大切になります。
フリーランスの節税方法
フリーランスの節税方法としては、利用できる控除の活用や、家事按分を行う必要があります。
利用できる控除は、医療費や保険、寄付金などです。上限があるため、節税可能な範囲を把握しておきましょう。
家事按分を行う
自宅で仕事をしている人は、家賃や光熱費、通信費などを経費として申請できます。ただし、プライベートで使っている分も含まれてしまうため、すべては経費にできません。
そこで必要なのが一部を仕事に使っているとして、経費申告をすることです。割合については、税理士に相談することがおすすめです。経費の割合が多すぎると、税務署から指摘を受けてしまう可能性があります。
控除を活用する
利用できる控除があれば、活用しましょう。誰でも利用できる控除は基礎控除の38万円ですが、青色申告に切り替えれば、フリーランスでも最大65万円の所得控除が受けられます。
令和2年度分より基礎控除は48万円に引き上げられます。
他にも、医療費・生命保険・寄付金など、利用できる控除はさまざまです。該当する項目があれば、確定申告の際に合わせて証明書を提出するだけで、申告が完了します。
控除は際限なく利用できるわけではなく、それぞれ該当する対象・金額のみが利用可能です。寄附金控除や生命保険料控除などは上限も決まっているため、注意しましょう。
控除対象の保険例
フリーランスだからこそ加入できる『小規模企業共済』や『経営セーフティ共済』などの保険は、節税に効果的です。多くの場合、企業が加入する保険ですが、個人事業主ならば退職金やトラブル時の備えとして活用できます。
退職金やトラブル時の保障がないフリーランスにとって、節税も兼ねて保険に加入しておくことは大切です。また、確定拠出年金や生命保険なども控除されます。
国民年金の上乗せとして、国民年金基金に加入を検討してもよいでしょう。
榎本希
節税方法としての1つに経費を正確に計上するというものがあります。
事業用に使用するクリアファイルやボールペンなど些細な支出であっても経費としてコツコツ計上することで節税対策になります。
また、フリーランスは退職金や失業時の補償がありません。そのような場合に備えて小規模企業共済等に加入しておくのもオススメです。
補償になると同時に控除にもなります。
また、事業にもよりますが、フリーランスの場合に仕事上のトラブルにより損害賠償等が発生した場合に備えて損害賠償保険等に加入するのもよいでしょう。事業用の保険という扱いになるため、経費として計上する事が可能です。
経費として家事按分を活用することも良いですが、家事按分などどこまでが経費となるのか分からないような場合は税理士などの専門家に相談して正確に経費計上できるようにするとよいでしょう。
節税と脱税は異なる
節税は、正しく売上や所得を申告し、その上で使える控除や経費計上をうまく活用する方法です。
脱税は、本来支払わなければならない税金をごまかして申告する法律違反に該当します。
間違えてしまうと大変なことになるため、項目など判断がつかない場合は、税理士など専門家への相談が大切です。費用はかかりますが、正しく申告できるようサポートしてくれます。
経費は正しく計上、申告
経費は適当に申告していいものではありません。領収書や支払い履歴などを保管した上で、申告します。
経費として形状できるのは、あくまでも仕事に必要な物のみです。税務調査が行われたときに、仕事とは関係ないものが混ざっていると、怪しまれてしまいます。あとから税金を上乗せで支払うことになるため、注意しましょう。
経費にしていいものがわからない場合や、家事按分の割合が判断できないときは、専門家へ相談しましょう。経費計上できるのか、判断が可能です。
経費の使いすぎは本末転倒
経費を無理に使っても、残るお金が多くなるわけではありません。経費分が税金から引かれるのではなく経費の金額に税率をかけた分だけが差し引かれるためです。
たとえば、無理に取引先との食事会を設定し、たくさんお金を使っても、所得税率が20%なら、20%分しか戻ってきません。住民税からも差し引かれますが、住民税10%を足しても、全額戻ってくるのとは大きな違いです。
経費として計上するなら、本当に必要なものだけにしておきましょう。
違法な申告はペナルティが課される
事実と異なる申告をした場合、違法な申告としてペナルティが課されます。間違いであると主張しても、指摘を受けると一定の税金が加算されるため注意しましょう。
手違いや計算ミスで少なく申告してしまった場合に限り、税務調査の通知が届く前なら税金は加算されません。延滞金がかかるケースがあるため、早めに修正を済ませましょう。
税務調査の結果、意図的に脱税したと判断されれば、重加算税として通常納める税額の35〜50%が追加徴税されます。それだけでなく、罰金や懲役の対象になることもあるため、大きなペナルティです。
節税しようと誤った認識で申告すると、余計に費用がかかります。正しい知識を身につけて、節税を心がけましょう。
榎本希
フリーランスの場合、経費を計上することは節税になりますが、何でもかんでも経費にできるわけではありません。
また、フリーランスの所得は仕事で得た報酬から経費を引いた金額が純利益となります。明確な理由や証明もないにも関わらず経費ばかりが多いなどは脱税を疑われる要因にもなりかねません。
税務調査が入った場合にも明確に理由の説明や証明ができるよう適切に経費を計上するようにしましょう。
家事按分などどこまでが経費となるのか分かりにくい物については税理士などの専門家に相談すると良いでしょう。
まとめ
フリーランスが節税の知識を身につけると、資金の維持や管理に役立ちます。保険や控除などを活用し、節税に努めましょう。
判断がつかない物は税理士に相談すると、解決します。経費計上でわからないことがある場合は活用しましょう。