フリーランスが損害賠償請求されるケースは?契約書をしっかり確認

フリーランスのトラブルは、時に損害賠償を求められるおそれがあります。損害賠償が発生する可能性があるのは、どのようなケースなのでしょうか。また、契約前の契約書確認の重要性やトラブルにどう備えればよいかについても考えてみましょう。

損害賠償請求される可能性があるトラブル

フリーランスがクライアントと請負契約を結ぶと、成果物に対して責任を負わねばなりません。契約中にトラブルがあれば、多額の損害賠償を求められる可能性もあるでしょう。

フリーランスが損害賠償を請求され得るトラブルについて考察します。

納品物の品質が要求に足りていない

クライアントに納品すべき成果物のクオリティが著しく低かった場合、損害賠償を請求されるおそれがあります。

具体的には、『納品したシステムに不具合が生じ、一定期間システムを使用できなくなってしまった』『データ入力業務で数値を間違えて入力し、営業損害が生じた』などのケースです。

クライアントに損害が生じた場合は、『システムが止まり営業出来なかった』などの直接被害だけではなく、『営業出来なかったせいで社会的信用が失われた』などの間接被害にまで損害賠償を求められることがあります。このようなケースでは、損害賠償金額は、途方も無く膨れ上がってしまいます。

納品遅れ

納品の遅れも、損害賠償に発展するケースの1つです。納品が遅れたことによりクライアント企業が損害を受ければ、受託者であるフリーランスに損害賠償が請求されるでしょう。

例えば、システムが間に合わなかったことにより営業出来なくなったり、業務がすべてストップしたりすれば、クライアントには大損害です。これによりクライアントが個人や企業から損害賠償を求められれば、すべての損害は受託者に起因するとして、賠償を求められるおそれがあります。

情報漏えい

IT関係のフリーランスなら、会社の機密情報を扱うケースも多々あります。このような情報をうっかり外部に漏らしてしまうと、企業に損害を与えたとして損害賠償を求められる可能性があります。

フリーランスの場合、セキュリティ管理は徹底しなければなりません。パソコンやスマホの紛失・盗難、ハッキングやウィルスによる情報の抜き取りなど、情報が漏れるシーンは様々です。

『情報漏洩リスク』を常に頭に置き、自分で徹底した対策を取ることが重要となるでしょう。

業務委託契約書で注意すべきポイント

フリーランスが損害賠償リスクを下げるのに有効なのが、業務委託の際に交わす『契約書』です。契約を交わす際は隅々まで契約書を確認し、不明な点や気になる点はその場で話し合いましょう。

業務委託契約書で注意すべきポイントを紹介します。

損害賠償の範囲を限定する

契約書では、『受託者の損害賠償範囲』を明確にすることが重要です。

例えば、『損害が生じた場合は、請負契約受託者が損害を賠償する』といった文言では、受託者であるフリーランスの損害賠償責任が無限に広がる可能性があります。そのため、請負契約を結ぶ際は、『責任を負う損害賠償の範囲を制限する』よう交渉しましょう。

具体的には、『損害賠償は直接かつ通常の損害に限る』『間接的損害については賠償の義務を負わない』などとしておくと安心です。

賠償額の上限を決めておく

損害賠償を請求された際、賠償額の上限を決めておくことも重要です。

損害賠償の範囲を制限しても、金額の上限が無ければ、受託者として多大な損失を被る可能性があります。しかし、損害賠償の上限が決まっていれば、一定金額以上の損害を賠償する必要はありません。

契約時には賠償範囲・金額の両方について取り決めるのがベターです。しかし、どちらか一方のみしか交渉できない場合は、金額の上限を定めた方が実害を少なく抑えられるでしょう。

不利な内容でも締結したら認めたことになる

クライアントと対等な立場で契約を結ぶフリーランスの仕事は、契約の内容がすべてです。たとえ契約書が受託者にとってどんなに不利な内容でも、契約締結後の変更は困難と心得ましょう。

契約前に十分な話し合いがあったとしても、契約書の内容については事前の再確認が必須です。不要な文言が入っていたり、条件が不足していたりなどした場合は、サインする前にクライアントに訴えなければなりません。

フリーランスが損害賠償リスクに備える方法

フリーランスとして働く場合、どんな案件でも損害賠償リスクはあります。フリーランスとして働き続けるならば、損害賠償のリスクを承知し、常に備えておくことが必要です。フリーランスはどのように損害賠償リスクに備えておけばよいのでしょうか。

損害賠償保険に加入する

『日本フリーランス協会』による国内初のフリーランス向け保険『ベネフィットプラン』に加入すれば、情報漏洩や納品物の瑕疵、著作権侵害や納期遅延など、様々なリスクをカバーする補償が受けられます。

万が一損害賠償を支払わねばならなくなった場合は、支払限度の範囲内で以下の保険金を受け取ることが可能です。

  • 法律上の損害賠償責任に基づく損害賠償金
  • 損害賠償請求に関する争訟費用で、保険会社が認めたもの

ただし、このプランに加入するには、日本フリーランス協会の『一般会員』になる必要があります。身分証やクレジットカード情報を協会に送信し、早めに審査を受けましょう。

審査後入会が認められれば、翌15日からが補償期間です。年会費は1万円、クレジットカード決済のみ可なので、こちらも用意しておく必要があります。

  • 保険名:ベネフィットプラン
  • 幹事会社:損保ジャパン日本興亜
  • 年間費:1万円(日本フリーランス協会一般会員費)
  • 公式HP:日本フリーランス協会

契約内容を弁護士に確認する

契約内容で悩んだりトラブルが発生したりした場合は、法律のプロである弁護士に確認するのがベターです。

弁護士の中には、主要駅や公共施設などで出張法律相談会を開催している人もいます。まずはこのような機会を利用して、契約について相談するとよいでしょう。

また、近年はフリーランスのトラブルを専門に扱う弁護士も増えています。トラブル内容がフリーランス特有のものなら、こういった弁護士に依頼するとよいです。

まとめ

会社と対等な立場で仕事をするフリーランスの場合、納品物にも厳しい責任が課されます。仕事をしていく上で発生したトラブルについては損害賠償を求められるケースもあるため、業務を慎重に行う必要があります。

また、損害賠償リスクを最小限に抑えるには、契約前の契約書の確認が必須です。納期や報酬以外に、損害発生時の取り決めについても、きちんと確認しておくことをおすすめします。

万が一に備えて保険に加入したり、相談できる弁護士や窓口を見つけたりしておくのも、フリーランスには必要です。自由に働ける一方で、フリーランスにかかる責任は大きいと承知し、あらゆるリスクに備えておきましょう。

この記事をシェア

関連記事


副業・フリーランス

プログラミング

インタビュー

デザイン

お金

採用・組織

転職

イベントレポート