フリーランスの確定申告に税理士は必要?
フリーランスは確定申告をしますが、そのときに税理士は必要なのでしょうか。確定申告のために日々やらなければいけない作業と、税理士の担ってくれることについて解説します。
記帳等の日々の作業が面倒
確定申告をするためには、事業で発生した取引をすべて記帳しなければいけません。商品が売れた・備品を買った・打合せでカフェに寄った、などお金の動きを1件ずつすべて記録するのです。また、記帳をするためには、領収書・レシート・請求書・納品書などの書類を分類し、保管しておかなければいけません。
記帳や記帳のための書類整理は面倒です。しかし、法律で取引の情報を記帳することが義務づけられています。事業に集中したいからと、省くわけにはいかないのです。フリーランスを始めると、自分の事業だけでなく、記帳も時間をかけて正確に対応しなければなりません。
税理士はこんなことをしてくれる
フリーランスにとって強い味方になってくれるのが税理士です。税理士は、面倒な記帳や書類の整理をしてくれます。
正確な会計帳簿や確定申告書の作成
税理士は帳簿の記帳や確定申告書の作成を、正確に行ってくれます。この正確性は、会計知識がないフリーランスにとって、特に役立つものです。
会計ソフトがあれば記帳の手間を減らすことはできます。しかし、借方・貸方といった複式簿記の基礎知識を知らない状態では、満足に記帳することはできません。また、仮にデータを入力して記帳できたとしても、それが合っているのか間違っているのかさえ分からないのです。
税理士は会計の専門家です。そのため、法律に沿って正確に記帳し、確定申告の書類を作成してくれます。会計知識のないフリーランスでも、税理士に依頼すれば、正確に確定申告ができるのです。また、税理士は最新の税制情報や節税対策についてもよく知っています。フリーランスが自己流で確定申告を進めるよりも、税制や節税対策に詳しい税理士に依頼した方が税制上の特典を多く受けられるのです。
領収書の仕分けをしてくれる
税理士は手間のかかる領収書などの仕分けも行ってくれます。こうした書類は、事業が拡大し取引が増えれば増えるほど多くなります。事業に多くの時間を使いたいのに書類整理で時間がない、では本末転倒です。
そこで税理士に依頼します。すると、必要な書類をすべて取り分けておけば、あとは税理士に渡すだけですむのです。税理士に仕分けをお願いすると、確定申告の期限に確実に間に合うように計画的に処理が行われます。確定申告前に徹夜で必要書類を揃える、といったことがなくなるのです。
確定申告を税理士に頼むメリット
確定申告を税理士に頼むことで得られる具体的なメリットについて解説します。
売上を増やすための業務に専念できる
1番のメリットは、フリーランスの事業に専念できるということです。事業に専念できれば、たくさんの売上をあげることができます。
利益にならない記帳や確定申告の業務を税理士に頼むことは、ROE(自己資本利益率)を意識した経営という点でも理にかなっています。ROEとは利益を自己資本で割った値のことで、利益のためにどれだけ自己資本を有効活用できているかを表します。フリーランスの場合、自己資本は時間です。そのため、税理士を有効活用し、利益になる時間の使い方ができるということは、将来有望ということにつながります。
記帳から確定申告までワンストップ
記帳から確定申告まですべての業務を行えるのは、税理士資格を持っている者だけです。税理士と似たサービスに、記帳代行がありますが、資格がないのでできるのは記帳のみとなります。
記帳の手間を減らせるという意味では、記帳代行も役立ちます。しかし、記帳はあくまでも確定申告の前段階ですから、確定申告を正しくするには別に税理士にお願いすることになるのです。税理士なら、記帳から確定申告までワンストップで依頼でき、よけいな手間が省けます。
経費の管理グゼがつき、計上漏れが減る
税理士に依頼するメリットとして、経費を漏れなく処理できるということがあります。毎月、締め切りまでに税理士から書類を提出するよういわれ続けると、そのうち領収書などをきちんと保管することがクセになるからです。
経費を漏れなく処理すると、その分所得を少なくすることにつながります。つまり、節税になるのです。税理士にお願いすることで、経費の計上が20%ほど増えた、というケースもあります。また、経費・控除には、細かな決まりがあります。決まりを知らないままに処理していると、間違った確定申告をしてしまうことにもなるのです。専門である税理士にお願いすれば、正しく漏れなく経費の処理ができます。
確定申告を税理士に頼む方法と手順
確定申告を税理士に頼むには、どうすればいいのでしょうか。税理士に依頼する方法と手順について解説します。
依頼方法は2種類ある
税理士に依頼するときには、大きく分けて2種類の方法があります。
- 確定申告書の作成と提出のみ依頼する
- 確定申告書作成に必要な毎月の記帳から申告書提出まですべて依頼する
確定申告書の作成と提出のみの依頼であれば、日々の記帳はフリーランス本人が行います。手間がかかりますが、その分税理士にかかる費用は最小限です。
一方、すべて依頼するのであれば、記帳も税理士が行いますので、フリーランスがやることは領収書などの書類の用意だけです。その分税理士の費用はかかりますが、より多くの時間を事業に使えます。
確定申告業務すべてを丸投げする場合の手順
確定申告業務を税理士に依頼する手順は『1.面談→2.書類一式を税理士に渡す→3.税理士から納税額を教えてもらう→4.納税もしくは還付する』という流れです。
まずは面談をします。面談は対面で行うこともあれば、メールや電話のやり取りで完結ということもあり、ケースバイケースです。
次に、フリーランスは必要な書類一式を税理士に渡します。通帳のコピー・領収書・請求書など記帳に必要な書類や、源泉徴収や保険料控除の証明書など、すべてを提出しましょう。書類をもとに税理士が確定申告書を作成し納税額を計算します。
税理士から納税額の連絡を受けたら、フリーランスは速やかに納税します。納税期限は3月15日です。もしくは、税金の納めすぎで返還金がある場合には還付を受けます。確定申告書は税理士から所轄の税務署へ送られ、その後資料一式がフリーランスに返されます。
信頼できる税理士を見つける方法
確定申告は信頼できる税理士に依頼しましょう。信頼できる税理士探しについて解説します。
地元の評判を知るか、インターネット検索か
税理士を探す方法は主に2つです。
- 評判のいい地元の税理士事務所に問い合わせる
- エリアを限定してインターネットで探す
どちらの方法で探す場合でも、共通してチェックしたいポイントが4つあります。
- 料金体系
- アドバイスをもらえるかどうか
- 税務調査の対応
- フリーランスの事業分野に強い税理士かどうか
料金体系が分かりにくい税理士は、一見安そうでもオプションメニューで割高になってしまう可能性があります。分かりやすい料金体系を設定している税理士を探しましょう。
アドバイスをどのくらいもらえるのかも大切なポイントです。どの程度のアドバイスや相談ができる税理士がいいのか、基準をはっきりさせておきましょう。また、過去に税務調査でどのような対応をしたのかもチェックしておくと安心です。特に対応しなかった、お茶を濁されて終わってしまった、という場合、税務調査への対応は期待できない税理士と考えられます。
同じ税理士でも得意分野は様々です。そのため、フリーランスの事業分野が得意な税理士であることも大切なチェックポイントです。
いい税理士かどうかの判断ポイント
依頼する税理士がいい税理士かどうか判断するポイントは3つあります。
- 顧客への接し方
- 仕事への熱心さ
- 自分との相性
顧客との接し方が丁寧で、きちんと話を聞いている税理士は、信頼できます。税理士本人はもちろんですが、事務所の職員の対応も同じようにチェックしましょう。
税理士を依頼するときには仕事への熱心さも大切なポイントです。熱心さは事前準備や、面談のときの質問に表れます。また、メールや電話のレスポンスの速さも大切です。
税理士もフリーランスも人なので、相性も大切です。性格の相性はもちろん、メールや電話のタイミングの相性、説明が分かりやすいかどうかの相性など、様々な面で相性のいい税理士を探しましょう。
まとめ
フリーランスの確定申告は税理士に依頼することで、手間を省き簡単にできます。手間のかかる記帳や確定申告書の作成を税理士が代行してくれるからです。信頼できるいい税理士を探し時間の節約をするのか、自分で確定申告をするのか、最適な方法を選んで申告できるようにしましょう。