フリーランスが知っておきたい税の知識
フリーランスで働くということは企業と雇用契約を結ばず、業務委託契約を結ぶ個人事業を営むということです。
このため自分で所得を計上して確定申告をしていくことになります。フリーランスに欠かせない税の知識を深めていきましょう。
所得について
『所得』とは収入(売上)から必要経費を差し引いた課税される利益のことを指します。
『所得税』とは個人の所得に課税される税金を指します。
フリーランスはすきまワーカーだけでなく個人事業主として開業届を出す人もいれば法人成りして事業化する人もいます。
請負う仕事などの条件次第では個人所得税だけでなく事業税を納税することになるケースもあり、法人成りしていれば法人税を納税することになります。
基礎控除とは
まず『控除』とはある金額を差し引くという意味を持っています。所得税は所得からさまざまな控除額を差し引いて『課税所得金額』を算出し、これに税率を掛けたものが所得税額となります。
所得控除の一つ『基礎控除』は今のところ全ての納税者が受けられる控除です。
誰もが38万円を控除されるというのが基礎控除でしたが、2020年からは合計所得金額2400万円以下なら48万円控除、合計所得金額が高くなるほど控除額は減る仕組みになります。
青色申告特別控除
フリーランスが所得税を確定させるためには『確定申告』を行わなければなりません。確定申告にも1年間の所得合計が20万円以下であれば、確定申告は必要ないなどの一定の条件もあります。
1年間の収支や控除額を記入した申告書を翌年の2〜3月に税務署に提出しますが、特別に手続きを行わなければ『白色申告』となりますので注意してください。
白色申告は記入項目がさほど複雑ではありませんが、簿記の知識が必要になる『青色申告』を行うと、最大65万円の『青色申告特別控除』が受けられるなどの特典があります。
満額の控除を受けるには簿記の原則や提出期限を守っているかなどいくつか条件はあります。
青色申告は、10万円控除や65万円控除がありますので、節税対策にもつながりお得です。青色申告のことを理解して、特別控除についての知識も蓄えておきましょう。
扶養家族の条件とは
「103万円の壁」や「130万円の壁」という言葉を見聞きしたことはないでしょうか。
これは被扶養者の収入がいくらを超えれば扶養から外れるかという税法上の区切りを壁に喩えた表現です。
扶養に入っているというのは特定の税の支払い義務が生じない、また所得控除も受けられる状態ですので、扶養を外れるかどうかは家計の大きな問題の一つとなるわけです。
所得税の扶養条件
被扶養者は年収が給与収入のみで額面が103万円を超えないなら被扶養者に所得税の支払い義務がなく、また扶養義務者は所得控除が受けられます。
「103万円の壁」を超えれば被扶養者は自分で所得税を払っていくことになり、扶養義務者は控除額が減って所得税額が増えることになります。
被扶養者が配偶者である場合は『配偶者(特別)控除』となり、それ以外の家族なら『扶養控除』となります。
社会保険の扶養条件
年収が給与収入のみで額面が130万円未満(対象者が60歳以上もしくは障害者の場合は180万円未満)であり、かつ被保険者の年収の2分の1未満の場合に社会保険の被扶養者になることができます。
「130万円の壁」を超えれば被扶養者は社会保険の扶養から外れ、自分で厚生年金・健康保険に加入して保険料を払っていかなければなりません。
扶養を外れるとメリットもある
扶養を外れると社会保険料の支払いが生じますが、扶養を外れることによるメリットもあります。そのメリットを詳しく見ていきましょう。
社会保険料の給付額が増える
まず健康保険では、『傷病手当金』や『出産手当金』の受け取りができるようになります。
傷病手当金は怪我や病気で4日以上仕事を休む場合に、4日目以降の給与を2/3補填してくれる手当金です。
出産手当金では産前産後に出勤できない場合、その日数分の給与を2/3補填してくれます。
厚生年金に関しては、扶養に入ったままだと老後の年金受け取りは国民年金のみですので、自分で厚生年金に加入しておくことで給付額を増やすことができるでしょう。
世帯収入が増える
また、上記の壁の制約を取り払うことで収入の上限を考えなくて良くなりますので、働きたいだけ働いて世帯収入を増やすことができます。
世帯収入が増えれば生活に余裕が生まれ、旅行に行ったりレジャーを楽しんだりなど生活が豊かになるのではないでしょうか。
もし、今以上に働きたいにもかかわらず、壁が怖くてぎりぎり超えない年収に抑えているなら、なくなる控除額や増える税負担を超える収入を目指してみてはいかがでしょうか。
まとめ
税金の扶養や社会保険の扶養には、「103万円の壁」「130万円の壁」がそれぞれあります。壁を超えないように働こうとする人も多いですが、それが必ずしも最善の判断ではないケースもあるでしょう。
税金や扶養についての基礎知識を学ぶことで、それぞれの状況に見合った働き方を選択できるようになるのではないでしょうか。