業務委託の報酬は確定申告が必要か
業務委託契約を結んで仕事をする場合、年間所得によって確定申告が必要かどうかが決まります。
年間所得が38万円以上となると、基礎控除額を超えるために確定申告を行わなければなりません。また、副業の場合は20万円以上で確定申告の義務が発生します。
生命保険の控除や経費によって課税される所得が変わりますので、一概に上記の金額とは言えませんが、一つの目安として覚えておくとよいでしょう。
青色申告がオススメ
確定申告には、『白色申告』と『青色申告』の2種類があります。今後も業務委託を請け負って活動を続けていくのであれば、青色申告がオススメです。
青色申告には、白色申告にはないメリットがたくさんあります。どんなメリットがあるのか、以下の項目から詳しく見ていきましょう。
青色申告特別控除が受けられる
青色申告の場合、白色申告にはない『青色申告特別控除』を受けることが可能です。条件によって、10万円または65万円の特別控除を受けられるので、税額が大きく変わります。
ただし、決算書の提出が必要であるなど、白色申告よりも手続きが難しいというデメリットもあります。
青色申告をしても扶養に入ることは可能
扶養に入ることで、所得税や住民税が発生しない、社会保険の負担がなくなるといったメリットがあります。では個人事業主として青色申告をしている人が、扶養に入ることは可能なのでしょうか?
結論から言うと『可能』です。ただし年間所得が38万円以下、給与所得が103万円以下であるなどのいくつかの条件をクリアする必要があります。
個人事業主が青色申告をするための条件
青色申告にさまざまな特典があるのは、ここまで記載したとおりですが、実際に個人事業主が青色申告をするためにはどのような条件があるのでしょうか?
開業届と青色申告承認申請書の提出
まずは個人事業主として認められるために『開業届』の提出が必要です。開業届の提出は『事業を開始してから1カ月以内』と所得税法第229条で定められています。
開業届の次に『青色申告承認申請書』を提出しましょう。同じタイミングで提出してもかまいません。こちらは『開業から2カ月以内』が期限です。どちらの提出も、税務署で行うことができます。
青色申告の対象となる所得を得ている
青色申告をするためには、当然、青色申告の対象となる所得を得ていることも条件です。所得税法によって所得は10種類に分類されていて、このうち『事業所得』『不動産所得』『山林所得』のいずれかがある場合に、青色申告が可能です。
なお会社員であっても、副業でこれらの所得があれば青色申告ができます。
青色申告決算書と帳簿の作成
青色申告の特別控除65万円を受けるために必要なのは、以下の条件です。
- 複式簿記で取引を記録している
- 貸借対照表と損益計算書を添付している
10万円の控除でもいいという場合は単式簿記でも問題ありませんが、65万円の特別控除を受けるためには複式簿記で記録していなければなりません。
そして『貸借対照表』と『損益計算書』で構成された決算書も必要なので、こちらも用意しましょう。
期間途中で青色申告に変更は可能か
今までの確定申告は白色申告で行ってきたものの、収益が膨らんできたため青色申告に変えたいというケースもあるでしょう。そのようなケースにおいて青色申告に変更できるかどうかを解説します。
期限までに青色申告承認申請書を提出
前述のとおり、原則として青色申告を行うには『開業から2カ月以内』の申請が必要です。
しかし、期間途中で変更を行う場合は、この条件を満たせない場合が多いでしょう。その時には「青色申告を行いたい年の3月15日まで」に青色申告承認申請書を提出する必要があります。
提出できなかった場合は白色申告となる
その年から青色申告を行う条件をまとめると、以下の期間内に青色申告承認申請書を提出する必要があります。
- 開業から2カ月以内
- 青色申告を行いたい年度の3月15日まで
この期間を過ぎた場合、その年は青色申告は行えず、翌年からの青色申告になります。つまりその年は白色申告として確定申告をすることになり、青色申告の恩恵が受けられないので、くれぐれも期間については注意しましょう。
まとめ
個人事業主として業務委託契約で仕事を請け負う場合は、青色申告が行えます。青色申告では、特別控除などの特典があるので、基本的には青色申告による手続きをオススメします。
青色申告では複式簿記や決算書の提出など、白色申告より手間がかかることは確かですが、『freee』や『マネーフォワードクラウド』などクラウド会計サービスなども増えており、個人事業主であれば、LINEを利用して、無料で税理士に相談できるサービスも出てきており、以前よりも恵まれた環境になりました。
青色申告承認申請書を定められた期間内に提出できなければ、その年は白色申告になりますので、注意が必要です。
青色申告は、節税対策として大きな効果をもたらしますので、できるだけ早く青色申告に切り替えを行いましょう。