副業をすると扶養控除申請書はどこに出す?会社員と自営業者の場合

最近では副業を許可する企業が増えたため、本業以外にも、副業を持つ人が増えています。また自営業の方でも、副業と掛け持ちして働いている方がいます。今回は、そんな方々のために扶養控除申請書に関する情報をまとめました。

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扶養控除申請書を知る

まず扶養控除申請書とは何か、という基本的な事から解説します。

扶養控除申請書とは

扶養控除申請書とは、年末に企業から配られる『給与所得者の扶養控除等(異動)申告書』のことです。この申請書を本業の企業に提出することによって、払い過ぎた税金の還付を受けることが出来ます。申請書には、税務署長名、住んでいる市町村、給与支払者(勤めている企業名)、法人番号(企業の番号)を記入する欄がありますが、これは会社の方ですでに記入されていることが多いです。

一番大切なところは、『あなたの基本的な情報』を書く欄と、『源泉控除対象配偶者』『控除対象扶養親族』の欄です。それ以外にも、障がい者、寡婦などの記入欄がありますが、受けたい控除によって記入する項目が変わってきます。

またマイナンバー(個人番号)を記入する箇所がありますが、ここの扱いは企業によって異なります。この箇所の記載に関しては、会社の指示に従ってください。

企業に勤めている場合はこの申請書の提出は義務ですが、自営業の方の場合は、自分で確定申告をすることになるため義務ではありません。

提出するメリット

企業から給与所得を得ている方は、この申告をすることによって、『給与所得の源泉徴収税額表』の『甲』の税額で控除をすることが出来ます。『給与所得の源泉徴収税額表』には『甲』と『乙』があり、『甲』の方が控除額が大きいのです。

出典:給与所得の源泉徴収税額表

またこの申告で、配偶者控除や扶養控除、障がい者控除、寡婦控除、勤労学生控除などの控除を受けることも出来るようになります。

扶養家族がいなくても提出するの?

この申請書は、扶養する家族がいなくても提出する決まりとなっています。もし提出を怠ると所得税が高くなってしまい、年収が少なくなってしまいます。確定申告をすれば、還付は可能ですが手間がかかります。

独身であっても、きちんと提出するように心がけましょう。

榎本希

扶養控除申請書は会社で勤務している場合、年末になると会社から記入をして提出をするように渡される書類の1つです。

この書類は扶養控除という名称になっていますが、扶養している家族が居ない場合であっても提出の必要があります。

もし提出を忘れてしまった場合には会社で確定申告を行ってもらえなくなってしまうため、自分で確定申告を行う必要があります。

副業と本業、どちらに提出するのか

仕事を掛け持ちしている場合、どちらに提出するべきなのか迷ってしまいますね。そこでここからは、会社員の場合と自営業の場合、どちらに提出するか解説します。

年末調整とともに1ヵ所で行うもの

年末調整は一か所でしか行われないため、申請も一か所で行います。その場合、年収が一番高いところで申請するのがおすすめです。

本業が会社員の場合

本業が会社員の場合は、まずメインの企業に扶養控除申請書を提出します。副業で勤めている企業には、別の会社に提出している旨を伝えれば問題ありません。

メインに提出する企業は、源泉徴収税を『甲』の金額で計上し年末調整をします。副業の企業では『乙』にて源泉徴収を行います。こちらでは年末調整はしません。

さきほどもお話ししたように、『甲』と『乙』では、差し引かれる税金の金額に差があり、『乙』に記入された収入の方が、高く差し引かれるようになっています。そのため、双方の企業から源泉徴収票が発行されたら確定申告に行き、乙で払い過ぎた税金を還付します。ここで初めて正確な納税額が解ります。

本業が自営業の場合

自営業の場合は、自分で確定申告をするため義務ではありませんが、もし副業の方が収入が多いなら、副業をしている企業に扶養控除申請書を提出するのが良いでしょう。

企業に提出をすれば、ここでの収入が主であると判断され、健康保険や雇用保険に加入することも可能になります。この場合は、自営業の仕事が副業になる形になります。

自営業が主であるにも関わらず提出を求められた場合は、確定申告をする旨を伝え、断るようにしましょう。

榎本希

副業がアルバイトなどの場合で副業所得が給与所得である場合には本業である会社に提出する方が良いです。

アルバイト分については自身で確定申告を行うか、本業先よりも早く源泉徴収票がアルバイト先から発行された場合には併せて提出することも可能です。

副業が個人事業主である場合には事業分での確定申告は自分で行う必要があるため提出を行わず会社から源泉徴収票をもらい自分で確定申告を行う事になります。

副業を行っている場合には副業の所得によっては確定申告が必要になるため、会社で年末調整は行ってもらわずに源泉徴収票をもらい自分でまとめて確定申告を行っても手間としては変わらないでしょう。

扶養控除申請書を提出しないとどうなる?

さてここからは、申請をしないとどうなるのか詳しく見ていきましょう。

来年度の所得税が増える

提出をしなかった場合の最大のデメリットと言えば、やはり所得税の増加でしょう。申請をしないということは、納税金額を『給与所得の源泉徴収税額表』の『乙』で計上することになり、結果的に納税額が増加します。

納税金額は年収に応じて上昇していきますが、例えば年収が50万円で独身だった場合は、『甲』で計算すると、納税額は29,890円となります、しかし『乙』で計算すると納税額は143,500円となり、11万円近く高く納税することになってしまうのです。

確定申告をすれば払い過ぎた分は返ってきますが、手間がかかるので会社に手続きをしてもらったほうが無難です。

いつまでに提出すべきか

会社に申請書をもらったら、出来るだけ早く申請しましょう。正確には、『その年の最初の給料を受ける日の前日』となっています。また中途で就職した場合には、就職した後、最初の給料日の前日までに提出するようにします。

提出を忘れてしまったときの対処法

もし忘れてしまった場合は、一度会社の方に忘れてしまった旨を伝えてみましょう。再年末調整処理が可能です。しかしこの方法が出来るのは、申告書が配布された翌年の1月末までです。

この期限を過ぎてしまった場合には、確定申告をするしかないでしょう。ただし確定申告にも期限があり、3月15日までとなっています。

また確定申告の期間を過ぎても、会社員の方の場合は『還付申告』によって、払い過ぎた税金を還付することが出来ます。この申告は5年以内のもので、所得税と住民税の払い過ぎに対応が可能です。この申告はいつでもできます。

もし5年以内で、本来受けられるはずの控除が受けられていないと思われるものも、対応できる可能性があるので、もし心当たりがあるなら申告してみましょう。

榎本希

扶養控除申請書の提出がない場合には所得税額の計算の際に源泉徴収票の額面が高い「乙欄」で計算することになり控除が受けられなくなります。そのため、扶養控除申請書の提出が年末調整の要件となっています。

提出をしなかった場合には控除を受けるためには自分自身で確定申告を行う必要があります。

提出期限は会社によりいつまでに提出するようにアナウンスがある場合が多いのでその指定期間内に提出するようにしましょう。

万が一忘れてしまった場合には、会社に一旦相談してみると良いでしょう。

提出方法によっては本業先が副業を確認できる

副業をしている人の中には、会社には内緒の場合もあるでしょう。その場合は、会社に副業が知られないようにしたいものです。しかし扶養控除申請書の提出によっては、会社に気づかれてしまうこともあります。そこでここからは、副業が会社にバレる理由を解説します。

副業に扶養控除申請書を提出すると本業にバレる理由

本来、扶養控除申請書はメインの企業にだけ提出するものです。それを誤って、副業の会社にまで提出してしまうと、税務署からメインの企業に、2か所で扶養控除申請書が提出されている、と連絡がいくのでメインの企業にバレてしまうのです。

もし本業の企業にバレたくないなら、副業の方で扶養控除申請書を提出しないことです。もし副業の方で申請書をもらっても、別の企業で申請している旨をつたえ、源泉徴収は『乙』で処理してもらうようにしましょう。

榎本希

扶養控除申請書の提出は1つの企業に提出するのが原則となります。

本業先と副業先の両方で提出してしまった場合には税務署から本業先に連絡がされる場合もあります。

副業を知られたくない場合には本業分と副業分をまとめて自分で確定申告を行うか、副業分については提出を行わずに自分で確定申告を行うかのどちらかを選択しましょう。

まとめ

本業に専念している間は、税金は会社の税務処理ですべて終わるのですが、副業を持つようになると、収入が2か所になるので、その分税務処理には注意しなければならないことが増えてきます。

扶養控除申請書を忘れずに提出するように心がければ、余分な税金を納める必要もなくなり、収入の減少を防ぐことが出来ます。税制は少し複雑で面倒なイメージもありますが、きちんと理解しておくとお得なことも多いので、知ることが重要です。

榎本希 [監修]

医療機関・医大の研究室にて長年勤務をした後、行政書士試験を受験。医療系許認可をメインに扱う行政書士として、行政書士のぞみ事務所を開業。再生医療関係の許認可・診療所開設・医療広告ガイドラインに基づく医療広告のチェック等の他、任意後見・契約書作成・起業支援を扱う。

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