パソコンを購入した場合の勘定科目
パソコンを購入したときの経理処理の注意点は、パソコン1台当たりの購入額によって科目が変わることです。
10万円未満のパソコンの勘定科目
10万円未満のパソコンを購入したときは、コピー用紙や文房具などに使う『消耗品費』を使って処理します。
例えば6万円のパソコンを買った場合は消耗品費で処理することになりますが、6万円のパソコンを2台買っても消耗品費で処理します。1台当たりのパソコンが10万円以下であれば、何台買っても消耗品費という扱いになります。
10万円以上のパソコンの勘定科目
一方、10万円以上のパソコンを購入したときは、『工具器具備品』という有形固定資産として扱います。固定資産ですので、減価償却の対象です。
このとき注意が必要なのは、10~20万円のパソコンです。このケースでは、『一括資産の特例』という3年間で均等償却できるケースに当たるので、『一括償却資産』という科目で仕訳します。
少額減価償却資産に該当する場合
青色申告をしている中小企業もしくは個人事業主は、30万円未満の資産について固定資産にした後に全額を減価償却費として経費にする『少額減価償却資産』という方法で処理することができます。対象資産の総額は、一事業年度につき300万円以内となっています。
この場合の中小企業者とは、事業開始日の資本金が1億円以下の法人のことです。ただし、大規模法人にある一定以上の株式を所有されている場合は、中小企業者の範囲外となりますので注意しましょう。
パソコンに関する具体的な勘定科目
それでは、パソコンを購入したとき以外にパソコンに関わる経費についてはどのように計上すれば良いのでしょうか。
パソコンセキュリティサポートの勘定科目
パソコンを購入した際は、セキュリティサポートに加入する人もいるでしょう。コンピューターウイルス対策として、個人情報の漏えいの防止策として、セキュリティサポートは現代企業の必須項目とも言えます。
このようなセキュリティサポートのためにソフトウェアを購入したときは、消耗品費を使って計上してください。ただし、パソコンと同様に10万円以内のソフトウェアに限ります。
パソコン修理の勘定科目
パソコンは精密機械のため、何かの拍子に故障してしまうこともあるでしょう。その際に、原状回復のみならず長持ちさせるようにするなど資産の価値を高める結果となったときには、『修繕費』ではなく、「有形固定資産の取得価額に足す」処理をします。これを「資本的支出」といいます。
修繕費は単年度で費用計上ができますが、資本的支出は固定資産と同様に減価償却をすることになります。
パソコンのような家電製品を修理してより性能を高くする場合以外にも、事務所の建物に避難階段を設置するなどグレードアップにつながった場合には、資本的支出として扱います。
パソコン周辺機器の勘定科目
マウスやUSB、外付けのハードディスクなど業務で使用するパソコンの周辺機器を購入した際は、消耗品費を使って計上します。そのほとんどが10万円未満だと思われますので、資産としては計上できません。
減価償却の基本知識を知ろう
減価償却の計算方法は、定額法と定率法の2種類です。定額法は毎年同じ額を償却していく方法で、定率法は初年度の償却費が最も多くなり少しずつ減っていく方法です。
定額法
定額法は、毎年同じ額を償却していく方法です。まず、対象となる経費の総額(購入費用・手数料・配送料など)と耐用年数を調べます。耐用年数はインターネットで調べられますが、資産の種類によって決まっています。
例えば、軽自動車は4年、パソコンも4年、コピー機は5年というように定められています。
また償却率も耐用年数によって決まります。4年であれば0.25%、10年であれば0.2%となります。
定率法
定率法は、初年度の償却費が最も高くなり徐々に減っていく償却方法です。取得金額や耐用年数の計算方法は定額法と一緒ですが、償却率が変化します。
定率法の償却率は、耐用年数4年であれば初年度は0.5、耐用年数5年であれば初年度は0.4です。また、前年度までに減価償却してきた金額の累計も計算しておきます。
まとめ
このように、パソコンを購入した際の勘定科目の使い方は金額によって変わってきます。また10万円以上のパソコンは資産として扱うため、減価償却の対象となります。
パソコンを購入する機会は今後も増えていくことが予想されています。正しい勘定科目の使い方を押さえて、今後の会計処理に役立てましょう。