会費に関する勘定科目まとめ。消費税や会費収入について解説

企業が営業活動を行う上で、さまざまな会合に参加することがあります。定期的に開催されるもの、臨時で開催されるものなど、日々行われている会合の参加費は経理上はどのような勘定科目で管理することになるのでしょうか。

諸会費の定義を知ろう

会合の参加費は『諸会費』という勘定科目で管理されるのが一般的です。この諸会費には、同業者で構成される業界団体や地域に密着した団体の年会費や組合費などが含まれます。

諸会費の意味と対象とは

諸会費は、会社の経営上、加入することになるさまざまな団体へ支払う年会費・組合費・賦課金などを指します。

そのため、会社が所属している団体に関わる経費については、諸会費を使用することが多くなるでしょう。

会費の具体例

諸会費の具体例としては、以下のようなものがあります。

まず『会費』です。同業者の団体・組合などのいわゆる業界団体のほか、地域に密着した商工会や商工会議所の会費などが主なものとなっています。

会社で特定の後援会などに加入している場合は、後援会の会費も諸会費として扱われます。ただし、この後援会の会費は注意が必要です。

業界団体などの会費と違い、後援会の会費は支出する会社にとって任意性が高いときもあります。

例えば、不特定多数の人が読むことができる政党の機関誌のようなものを定期的に購読しているレベルであれば、諸会費ではなく『寄付金』という勘定科目を使うこともあります。

しかし、後援会の行事にも参加し、後援会を成立させるために必要な会費を支払っている場合には、諸会費で処理することになります。

取引例と仕訳

諸会費の扱いは、『旅費交通費』や『消耗品費』などと同じように仕訳を行います。具体的には、会費を支払った時には、諸会費の借方に記帳していきましょう。

会費の勘定科目とは

諸会費の中でも使用頻度が高い項目について、具体的な仕訳方法を見ていきましょう。

同業者団体の会費

業界団体の会費の多くは諸経費として計上しますが、一部違う科目を使うことがあります。

まずは『加入金』です。加入金の中でも、団体の中での地位をほかの人に譲ることがなく、出資としての意味合いがないものについては『繰延資産』として5年で償却します。ただし、支出金額が20万円未満の場合には損金経理により全額損金算入することができます。

一方、地位をほかの人に譲ることができる出資の意味合いが強いものは『資産』として計上します。そして、譲渡・脱退時に『損金』として算入できます。

ゴルフやレジャーの会費

ゴルフなどのレジャーにまつわる団体に加入している会社も少なくないでしょう。法人会員としてそのような団体に加入するときに支払い『入会金』は、誰が加入するかによって科目が変わります。

特定の役員が専ら使用する場合は、『給与』の一部として計上します。逆に不特定の役員が使用するゴルフ場の会員権などの会費は、資産計上することができるでしょう。

また、法人会員ではなく個人会員として加入したものの、業務を遂行する上で必要と認められた会費については、給与の一部として計上するケースが多くなっています。

社交団体の会費

業界団体の中でも、親睦が目的の社交団体の場合も注意が必要です。

法人会員として入会する場合は『交際費』として計上します。個人会員の場合で、業務上必要と認められた場合は、給与の一部として支払われます。もちろん、業務に関係ないものは会社からは負担してもらえないでしょう。

会費に関する知っておきたいポイント

さまざまな会費について、会社の経費になるかどうかは、事業とどれくらい関連性があるのかが目安となります。

会費の中で経費にできるもの

同業者団体や商工会議所、組合など加入することで経営のプラスになると考えられるものは、会社の必要経費として認められます。このような経費は、事業を行っていなければ支払う必要がないため、諸会費として扱うことができます。

逆にプライベート性の強いものは、会社の経費として認められることは少ないようです。会社によっては、レジャー補助などを行っていますが、給与の一部として支払われることが多くなっています。

会費は消費税の課税対象か?

諸会費として計上されたものについて、消費税の課税対象になるのでしょうか。業務上必要な諸会費については、一般的な考え方として団体との対価関係がないと考えられるので、消費税の課税対象外となります。

会費を受け取る団体も、商売のための利益という考え方にはならないため、消費税の課税対象外として処理します。

しかし、諸会費の中には対価関係のグレーゾーンになるようなものも存在します。このような会費において、会社側の判断として課税仕入れとして仕訳していない場合は、消費税の課税対象外となります。

会費などを支払う事業者とその会費などを受ける同業者団体や組合などの双方が、その会費などを役務の提供や資産の譲渡等の対価に当たらないものとして継続して処理している場合は、その処理が認められます。なお、この場合には、同業者団体や組合などは、その旨をその構成員に通知するものとされています。

まとめ

このように、諸会費は会社が営業を継続するうえで必要なものと認められた場合に使用する科目です。

レジャーなど科目が変わるものもあるので注意が必要ですが、団体に加入することが会社の継続にプラスになると考えられる場合は、諸会費に仕分けすることが多くなるでしょう。

生川奈美子 [監修]

株式会社アスト代表取締役。大手生命保険会社に12年勤務後、2003年にファイナンシャルプランナーとして独立。現在、「わくわくの明日と共に」をモットーに、子育て世代、リタイア世代のライフプラン作成や家計相談、相続相談などのコンサルタントとして活動中。また、講師や執筆も担当。2015年度金融知識普及功労者として金融庁・日本銀行から表彰を受ける。

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