そもそも源泉徴収とは何か
まずは、そもそも源泉徴収の基本から見ていきましょう。
源泉徴収を知ろう
給与や報酬を支払う会社や個人側が、事前にその給与や報酬から納めなければいけない税金を差し引いて、支払うことを源泉徴収と言います。
この源泉徴収を支払う会社や個人のことを『源泉徴収義務者』と呼びますが、フリーランスの場合は源泉徴収をされる側になるのです。
フリーランスは自分で確定申告を行うため、源泉徴収がされるものと、されないものをきちんと理解しておく必要があります。
源泉徴収の計算方法
源泉徴収の計算の仕方は、支払金額が100万円を基準に計算方法が変わってきます。
支払金額が100万円以下の場合は、報酬額から源泉徴収税額を引く方法が適用されるため、支払い金額×10.21%(源泉徴収税額)の計算となります。
たとえば、報酬額が1万円の場合、1万円×10.21%=1021円(源泉徴収税額)となり、1万円-1021=8979円となるわけです。この8979円が実際に支払われる金額となります。
一方、100万円を超えると、二段階税率が適用されるため、(支払金額−100万円)×20.42%+10万2100円となります。
たとえば、報酬額が150万円の場合、(150万円-100万円)×20.42%+10万2100=20万4200円が源泉徴収される金額です。
源泉徴収の対象となる人は?
実際に、源泉徴収が必要となる対象の人を詳しく見ていきましょう。
源泉徴収の対象を調べるには
源泉徴収の対象になるものとして、挙げられるのが給与所得ですが、ここでは給与以外にも源泉徴収の対象となるものをまとめて紹介します。
源泉徴収の対象を調べる際は、国税庁のホームページに詳しく記載されているので、その中でも個人が対象となる範囲を見ていきましょう。
- 原稿料、講演料
- デザイン料
- 弁護士や税理士のような資格を持つ人に支払う報酬料
- 社会保険診療報酬支払基金に支払う報酬
- プロ野球選手やモデルに支払う報酬
- 広告宣伝用に利用した賞金など
- ホテルや旅館などで接待として利用し、コンパニオンやホステスに支払う報酬
- 芸能人や芸能プロダクションを経営する個人に支払う報酬
原稿料
小説やWeb記事などの原稿料、セミナーやイベントでの講演料も源泉徴収の対象となります。 ただし、懸賞応募作品などの賞金として入選者に支払う場合は、5万円以下なら源泉徴収をする必要はありません。デザイン料
デザイン料については、フリーランスの場合は源泉徴収の対象となりますが、デザインの具体的な内容は、所得税の基本通達によって次のように挙げられます。
- 工業デザイン
- クラフトデザイン
- グラフィックデザイン
- パッケージデザイン
- 広告デザイン
- インテリアデザイン
- ディスプレイ
- 服飾デザイン
- ゴルフ場や遊園地、庭園などのデザイン
あくまでデザイン料の範囲は、所得税基本通達204の7にて定められているものの、Webサイトのデザインに関して規定はまだ定められていません。
ただし、個人デザイナーとして活動している人にWEBサイトのデザインを依頼した場合は、源泉徴収が必要となる『デザイン料』として、対象となることが多いです。
フリーランスが気をつけるべきポイント
フリーランスが源泉徴収制度に対応するを上で、特に注意するべき点を3つご紹介します。
請求書に記載する方が親切
請求書に源泉徴収金額を記載しておいた方が、支払う側が計算する必要がないので親切です。
自分がデータとして請求書の控えを保管する場合にも、源泉徴収額が書いてあった方が便利でしょう。
そのため請求書には源泉徴収の金額を明記するようにしましょう。
消費税と分ける
請求金額からは源泉徴収の他に消費税が引かれます。そのため請求書を作る時には、消費税も記載することになりますが、源泉徴収金額と消費税額は分けて記載しましょう。
請求書に消費税を分けて記入しないことで、内税なのか外税なのかという判断ができかねるため、所得税を誤って計算してしまう原因にもつながります。
復興特別所得税を含む
『東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法』が2011年12月2日に公布され、平成25年1月1日から施行されました。
そのため、2013年1月1日から支払われる報酬には、復興特別所得税が追加されるようになったのです。
源泉徴収の計算方法の中で、所得が100万円以下の場合は0.21%、100万円を超える場合は0.42%が復興特別所得税となります。
フリーランスは確定申告をしよう
フリーランスで活動している人の多くは、確定申告をすることになるでしょう。そのために何が必要なのかを解説します。
事前に源泉徴収の管理や確定申告を正確に進めることが大切です。
源泉徴収の合計額を計算しておこう
確定申告時には、実際に源泉徴収の金額がいくらなのか、申告する必要があります。
そのため、請求書を作成する段階で源泉徴収の合計金額を出しておくと、スムーズに進めることができるでしょう。
万が一、源泉徴収の合計金額が分からない場合は、払い過ぎた税金が戻って来ない可能性もあるため気をつけましょう。
また、源泉徴収義務者は、源泉徴収の支払いが必要となった場合、支払いのある月の翌月10日までに納付をしなければいけません。
納付期限を過ぎてしまうと、期限となる日の翌日から納付するまでの日数分の延滞税が自動でかかります。
ただし、毎月納付するのが億劫という人に対して、年2回まとめて納付できる特別措置もあるので、利用することも可能です。
あくまで、この対象者は給与を支払う従業員数が10人未満であり、源泉徴収義務者のみとなるので気を付けましょう。
確定申告をする際の注意点
確定申告を行う際は、1年間で得た収入や費用から正確な年間税額と、前払いしておいた源泉徴収税額を精算することになります。源泉徴収の金額は収入に応じて単純に算出されているため、確定申告を行うことで年間の税額が源泉徴収された金額を上回ることもあります。
また、納付する税金の中には源泉徴収で納付した税金が含まれていません。そのため、重複して税金を納めてしまわないよう気をつけましょう。
そして、確定申告の時期にも注意するようにしましょう。確定申告ができる期間は1年のうち毎年2月から3月のあいだに限られています。期限内に申告を行わないと、ペナルティを課せられるケースがあるので注意が必要です。
さらに、確定申告には青色申告と白色申告の2種類があり、定められた期限までに特定の書類を用意し、納税することが重要となります。自分に合った納税方法を選び、期限内にきちんと納付するようにしましょう。
まとめ
フリーランスとして働く上で、源泉徴収はとても重要な手続きとなります。
基礎知識をしっかり身につけておくだけでも、確定申告時に損をせずに済むかもしれません。これを機に自分が請け負う仕事の報酬について、より知識を深めていきましょう。
これからフリーランスを目指す人は、源泉徴収や確定申告の基礎知識を頭にいれておくだけでも、スムーズに手続きが進められます。