副業する会社員が増える現代
「働き方改革」の考え方にともない、現在の日本では、長時間労働の風潮が見直されつつあります。フレックスタイムやテレワークの導入、残業の禁止など、就業者がオフィス内での就業を拘束されることなく、自由な時間が増えます。
一方で残業代も減少し、ボーナスカットという現状から、副業で副収入を得る人が増えてきているのが現状です。
企業も働き手もメリットのある副業
会社に縛らずに自由に時間を使えるようになり、働き方の選択肢が広がりました。働き手だけでなく、企業にとっても従業員の副業は下記のようなメリットがあります。
- 従業員のスキルアップ
- 優秀な人材が増える
- 働き方改革を進めている先進的な企業としてのイメージアップ
- 経済活性化
本業の就業規則は必ず確認を
就業規則には副業についてルールが設けられている場合も多いので、実際に副業を始める前には、確認が必要です。事前に許可を得る必要がある場合は、副業を始める前に報告の義務があります。
榎本希
働き方改革の施行のより、副業を解禁する企業も増えています。
本業である会社員のほかに自分のスキルを活かして収入を増やすことができたり、本業とは別の業界で副業を行うことで別のスキルを身に着けることができたりと、副業には一定のメリットがあります。
その反面、労働時間が増えて疲れが取れない、睡眠不足になる、プライベートの時間が減るなどのデメリットもあります。
年間30万円稼ぐと確定申告は必要か?
勤めている会社での年末調整とは別に、副業で収入がある場合は、確定申告が必要となってきます。いくら以上稼ぐと必要となってくるのかについて、確認していきましょう。
間違いやすい、所得の計算方法
申請の対象となる金額は、収入から必要経費を引いたものとなります。
副業でも経費計上ができる
給与所得は収入金額に応じた給与所得控除額(みなし控除額)が定められています。一方、副業で得た雑所得や事業所得の場合は、かかった経費を差し引くことができます。経費として認められるかどうかの見極めは、それが収入を得るために必要であったかどうか。
例えば、持ち家で開業した場合は、事業活動に必要な敷地面積に対応する固定資産税相当額が経費として認められますが、生活空間として使用している敷地面積に対応する固定資産税相当額は、経費に入れることができません。
年間所得20万円を超えたら確定申告
勤めている会社で年末調整をしてくれる場合でも、給与所得及び退職所得以外の所得の金額の合計額が『年間20万円を超える』場合は、確定申告をする必要があります。
20万円以下でも確定申告が必要な人
ただし、年末調整をしてくれる会社は、本業として務める一社のみです。副業でも給与収入として報酬が発生する場合は、その収入金額が20万円以下であっても、それらを合算して確定申告する必要があります。
青色申告か、白色申告か
確定申告には、節税効果の高い「青色申告」と節税効果が低い「白色申告」の2つの申告の仕方があります。青色申告は、開業から2ヶ月内に「所得税の青色申告承認申請書」などの必要書類を、住んでいる地域を管轄する税務署に提出し、申請する必要があります。
一方で白色申告は、税務署への申請は不要です。しかし、白色申告は2014年から帳簿保存が義務化されたため、青色申告と比べてかかる手間の違いは小さくなりつつあります。
節税効果の高い「青色申告」のほうがオススメできますが、事業所得ではない雑所得等の場合は、青色申告をすることができません。事業所得と認められるためには継続性があるなどの条件があります。会社員の副業は事業所得と認められることが少なく、青色申告できないケースが多いので注意しましょう。
榎本希
副業所得が20万円を超えた場合には確定申告が必要となります。
副業がアルバイトなどのように給与として支払われる場合には所得区分は給与所得となりますので、額面が20万円を超えた時点での確定申告になりますが、事業として副業を行っている場合や、事業規模ではないものの例えば単発のライターや講演などを行った場合などのは、それぞれ「事業所得」や「雑所得」となるため、実際の報酬として得た金額から、その報酬を得るために使用した費用を経費として引くことができます。経費を引いたこの金額が20万円超えた場合には確定申告が必要になります。
副業によって増える税金を知ろう
副業により、追加で支払うべき所得税や、住民税についてはどうなるのかなどを、見ていきましょう。
所得税は本業と合算して計算
給与所得はあらかじめ、年収に対しての給与所得控除の額がが決まっています。アルバイトやパートで副業をしている場合などは給与所得になるため、本業の年収と副業の年収を足して、そこから給与所得控除額を差し引いたものが所得となります。
住民税は所得に関係なく課税される
副業による所得が20万円の場合、所得税は控除されますが、所得の額に関わらず、住んでいる市区町村に支払う「住民税」については、支払い義務があります。
榎本希
副業金額が20万円以下の場合で確定申告を行わない場合にも住民税の申告は必要となりますので注意が必要です。
確定申告を行っている場合には別途市区町村に申請を行う必要はありませんが、確定申告を行っていない場合には別途市区町村へ住民税の申告が必要となりため忘れないようにしましょう。
会社に隠したまま副業は続けられる?
法律上、会社側が社員の副業を全面的に禁止することは、原則として許されていません。とはいえ、副業禁止としている会社が多いのも事実です。そういった場合に副業をするのであれば、下記のテクニックが有効です。
隠しやすい副業を選ぶ
まずは、副業の種類を選びましょう。人目につく仕事だと、どうしても目についてしまいます。ですので、在宅で取り組める「ネットビジネス」がおすすめです。
副業分の住民税を普通徴収にする
住民税は給料ではなく所得にかかるため、副業分も徴収されます。そのため、副業が会社に分かってしまうことがあります。それを防ぐためには、副業分の住民税を普通徴収に切り替える必要があります。普通徴収とは、納税者が自ら市区町村に住民税を納税する方法です。
榎本希
副業が解禁されてきているとはいえ、副業をしていることを会社に知られたくないという人も多いでしょう。
自分から副業を行っていることを話したり、副業を行っている様子を見られたりしなければ副業を知られることはあまりありませんが、住民税の増加により知られる可能性は否定できません。
そのため、住民税の納付方法は特別徴収ではなく普通徴収を選択するようにします。ただし、自治体によっては特別徴収を推奨している自治体もあるため、普通徴収を選択しても必ず普通徴収になるとは限りません。不安な場合は自治体に問い合わせてみるとよいでしょう。
まとめ
副業での所得が『年間20万円を超える』場合は、確定申告が必要です。ただ、それ以下の場合でも控除されない場合や住民税は納税の義務があるのです。さらに確定申告をする場合は、青色か白色かでも納税額が変わってきます。納税について正しく理解した上で、副業を検討しましょう。