副業でサラリーマンが年間50万円稼ぐ時代
一昔前、サラリーマンの副業は雇用先の就業規則で禁止することがほとんどでした。しかしバブル崩壊やリーマンショックを経て、現在では徐々に認められつつあります。
特に2016年以降、政府が掲げた『働き方改革』により、その流れは強くなったと言えます。在宅ワークやフレックスタイム制など、働き方の多様化が推進され、副業や兼業を解禁する企業も増加しました。
複数のビジネス系雑誌や転職サイトのアンケート調査などによると、多くの場合、副業の収入は、1カ月平均4〜5万円です。この結果から、サラリーマンが副業で年間50万円稼ぐのも可能と考えられます。
副業OKの会社が増加中
以前は就業規則で副業を禁止している企業が多く存在していましたが、現在では副業を解禁する企業が徐々に増加しています。その主な理由としてあげられるのが次の2点です。
- 厚生労働省による『モデル就業規則』が『副業容認』の形に改定(平成30年1月)
- 大手企業、ベンチャー企業では『優秀な人材を確保』する観点から容認
厚生労働省の改定は、『働き方改革実行計画』を踏まえたもので、同省のホームページでも『副業・兼業』の普及促進を図ると明記されています。今後追随する企業は増えることが予想できるでしょう。
また、現状でもソフトバンク・ロート製薬・新生銀行・サントリーなど、大手企業やベンチャー企業の多くが副業を認めています。
サラリーマンの副業の現実
サラリーマンの『副業』に関する実態はどうでしょうか。ビジネス系の雑誌や転職サイトのアンケート調査などによると、「副業に興味がある人は全体の7〜8割」との結果がでおり、副業に強い関心があることが伺えます。
実際に副業経験がある人は約3割で、副業の種類としては接客サービスが約3割、次いでサイト制作・ネットビジネスが約2割、事務・警備・土木などが合わせて約3割と続きます。
サラリーマンが稼げる副業
サラリーマンが稼ぐ副業としておすすめの3種を紹介します。
- アルバイト系の副業
- ネットを利用した副業
- 投資による副業
副業を推進する企業は増加していますが、禁止している企業も多く存在します。場合によっては懲戒の対象になることもあり、特に公務員は一部の例外を除き法律で禁止されています。まずは会社の規則を確認してから、検討するようにしましょう。
飲食店や工事現場でのアルバイト
副業ときいてすぐに思い浮かぶものの一つに『アルバイト』があります。幅広い年齢層で需要があり、学生時代の経験を活かすこともできます。仕事前や終わった後に働く定番の副業でしょう。具体的には下記のような職種があります。
- 朝刊の新聞配達
- 早朝や深夜の清掃
- 飲食店などの接客業
- 工事現場
- 交通整理や夜間警備
アルバイトにはスタートへのハードルが低い点と、主に時給制のため確実に収入が得られる利点があります。
アフィリエイトやフリマ等のネットビジネス
インターネットを利用して副業する方法には次のようなものがあります。
- ネットオークションやフリマアプリ
- アフィリエイト
ネットオークションやフリマは、インターネットを通じて物品を販売するものです。PC・スマホなどネット環境があれば、自宅にある不用品から始められ、気軽に副業を開始できます。
しかし、継続してある程度の収入を得るためには、出品する在庫品をいかに低価格で仕入れることができるかが問題です。
アフィリエイトはブログやホームページを開設して、広告を掲載することで収入を得るものです。ブログやホームページを見てもらい、広告バナーのクリックや商品購入など成果をだすことで収入を得られます。
FXや仮想通貨等の投資
『FX(エフエックス)』は外国通貨の売買取引により為替益を狙うもので、正式には『外国為替証拠金取引』と言います。『仮想通貨投資』はビットコインなどのネット上で使える仮想通貨(デジタルデータ)を投資目的で購入し売買益を狙うものです。
どちらも副業として成功している人もいますが、損失を被るリスクも大きく、大半の個人投資家が撤退または損失を出しています。そのため、十分な投資準備とリスク管理が大切です。
稼いだ50万円は収入か、所得か
副業で稼いだ50万円は『収入』に分類されます。収入と『所得』は似たような言葉ですが、収入は、副業がアルバイトの場合は年間給与額のことで、その他の場合では売り上げや利益のことです。所得については後述します。
副業で稼いだお金には、給与と同じように課税義務が生じます。ここでは稼いだお金と税金の関係について見ていきましょう。
税金の計算には所得額を利用する
給与や売り上げなどの収入は直感的に金額などがすぐつかめ分かりやすいのですが、税金を計算する場合には収入ではなく所得を利用します。
- 所得=収入-経費(各種控除)
所得とは収入から各種控除や必要経費を差し引いたもので、課税を確定するためには本業の所得額と副業の所得額を合算します。この所得金額に対応する一定の税率がかかることで課税額が決定されます。
副業の経費になり得るもの
副業の業種別に経費の対象となるものには下記のようなものがあります。
- オークションやフリマなどのネットビジネス:物品の仕入れ代金、発送梱包費用
- アフェリエイターやライターなど:業務用のパソコン、カメラ
- FXなどの投資:業務用のパソコンやソフト、証券会社などへの手数料
共通のものが文房具代や図書費、通信費などです。ただし金額や用途によっては、一部しか経費として認められないケースがあります。詳細については税務署などで確認が必要です。
住民税と所得税はいくら増える?
副業で稼いだお金の課税額はどのくらいになるでしょうか。ここでは所得税と住民税それぞれの計算方法を見ていきます。
住民税の計算方法
住民税の計算方法は下記のとおりです。
- 課税額=所得割+均等割
- 所得割:一律10%
- 均等割:都道府県、市区町村で違う、概ね5000円~6000円
住民税は所得割と均等割の2項目から課税されます。所得割は本業の所得と副業の所得の合計に一律10%課税されるもので、均等割は都道府県・市町村で違いがありますがおおよそ市民税3500円、県民税1500円で合計計5000~6000円が徴収されます。
例:本業の給与所得が250万円、副業の所得が50万円の場合(東京)
- 所得割:所得合計300万円の10%課税より、30万円
- 均等割:5000円
- 課税額:30万5000円
東京都では所得合計が250万円+50万円で300万円、所得割30万円、均等割5000円より住民税は30万5000円です。本業のみの課税額は25万5000円なので、副業することで5万円課税額が増えます。
一般に副業で年間所得が20万円以下であれば、確定申告の必要がないです。しかし、住民税は、所得がある限り課税されます。
所得税の計算方法
所得税の計算方法は下記のとおりです。
- 課税額=(所得×所得額に応じた税率)-課税控除額
税率と控除額は所得に応じて下記のように変わります。
- 所得金額195万円以下:税率5%・控除額0円
- 所得金額195万円超~330万円以下:税率10%・控除額9万7500円
- 所得金額330万円超~695万円以下:税率20%・控除額42万7500円
例:本業の給与所得が250万円、副業の所得が50万円の場合(東京)
- 300万円×10%-9万7500円より20万2500円
30万(300万×税率10%)から9万7500円を引いた20万2500円が課税額です。本業のみの課税額は15万2500円なので、副業することで5万円課税額が増えます。
正しい納税方法を知ろう
所得税の納付は確定申告時に選択した、金融機関の窓口払い、口座引き落としなどの方法で行います。住民税で『普通徴収』を選択した場合は、所得税と同様となりますが、『特別徴収』を選択している場合は、会社の給与から所得合算分の住民税が天引きされます。
副業するにあたっては、正確な申告と正しい納税方法を知るべきです。
まとめ
厚生労働省の後押しもあり、副業をするサラリーマンが増えています。副業の月収入は平均4~5万円と言われ、副業でも年間50万円ほど稼げると言えるでしょう。職種はアルバイトからネットビジネス、投資まで多種多様です。
気軽に始められる副業も多く存在しますが、職場で副業が禁止されている場合や、投資などでは損失リスクがあることに注意が必要です。
また、副業で稼いだお金も課税対象です。税額計算や確定申告など納税に関する正しい知識を持ちましょう。