副業で50万円稼いだときの確定申告とは。知っておきたい基礎知識

働き方改革によって国が副業を推進してます。これからは副業を持つ人が増えていくのではないでしょうか。副業が軌道に乗れば、本業以外にも50万円ほどを稼ぐ人もいるでしょう。その場合に必要な確定申告などについて解説します。

副業の所得区分ついて理解しよう

副業で得た所得に応じて支払う税金を算出するにあたって、所得区分を理解しておくことが大切です。理解することで、適切に申請できるほか、場合によっては有利な申請を行うこともできます。

所得は次の10種類に区分されています。

  • 利子所得
  • 配当所得
  • 不動産所得
  • 事業所得
  • 給与所得
  • 退職所得
  • 山林所得
  • 譲渡所得
  • 一時所得
  • 雑所得

この中から、副業収入を得る人にとって大切な、給与所得・雑所得・事業所得の3つについて説明します。

給与所得とは

会社員の多くは、毎月給与を受け取る人が多く、その金額については源泉徴収前の金額と源泉徴収後の金額があります。収入は、源泉徴収前の金額のことを指すものです。

一方で、『給与所得』とは全体の収入金額より、会社員の必要経費と認められている給与所得控除額を差し引いたものとなっています。つまりは源泉徴収後の金額が給与所得と呼ばれるものです。

雑所得とは

『雑所得』とは、先に紹介した10種類の所得区分の中で、他の9種類のいずれにも当たらないものを指します。会社員の副業で得られる所得の多くが、この雑所得に該当するものと言えるでしょう。

例えば、個人でネット販売をして得た所得は雑所得に該当します。文章を書くことを本業としていない人が得る原稿料なども雑所得です。

また、個人として引き受けた講演会での講演料や謝礼も、雑所得になります。

事業所得とは

『事業所得』とは、農業・漁業・製造業・卸売業・小売業・サービス業・その他の事業を営む人の事業から発生する所得を指します。

この時、不動産の貸付けや山林の譲渡による所得は、事業所得には当たりません。原則として、不動産所得や山林所得となります。

榎本希

所得の区分は10種類に区分されていますが、中でも副業として多いのが「給与所得」「事業所得」「雑所得」でしょう。中には「不動産所得」を得ている場合もあるかと思います。

これらの所得の中で、給与所得以外のものについてはその業務を行うために費用を支出した場合には経費として報酬から引いた金額が所得額になります。

不動産所得については土地や建物の賃貸で得る所得になりますが、こちらも要件を満たし、事業性がある場合には事業所得となります。

自分では雑所得であると思っていたが、事業所得にできるような場合や逆の場合もあるため、自身の副業の所得がどの所得にあたるかわからないような場合には税務署の無料相談や税理士などに相談するとよいでしょう。

副業収入50万円の場合の確定申告

会社員の場合は、毎月の給料から所得税を差し引く源泉徴収や、年末に1年間の収入と税額を確定させる年末調整の制度があるため、確定申告をする人は限られます。

副業における所得の場合、『勤める企業の給与の他に何らかの所得がある』場合に確定申告の必要が生じるケースがあることは覚えておきましょう。例えば、副業における所得が20万円を超えると、確定申告の義務が発生するのです。

このように、副業による所得が増えると、それまでは確定申告の必要がなかった会社員であっても、確定申告をする義務が生じてきます。ここからは副業で得る所得と確定申告の関係について解説しましょう。

副業収入50万円以上でも納税は必要?

会社員が確定申告をするケースは、主に3つの理由に分けられます。

  • 年末調整を受けている会社以外にも副業として、20万円以上の所得がある
  • 2カ所以上から給与所得として一定の収入がある
  • 給与所得が2000万円を超える

副業収入が50万円以上となった時、そこから経費などを差し引いて、所得が20万円を超えたとします。その場合は、確定申告をしなければいけません。

副業収入50万円以上の注意点

副業収入が50万円以上となると、経費を差し引いた所得が20万円を超える場合もあるでしょう。そうなると確定申告し、確定した税額から、住民税と所得税をそれぞれ納付しなければなりません。

住民税の納付方法には、普通徴収と特別徴収があります。特別徴収では、企業が住民税の支払いをしていますので、自身がどの徴収方法かを確認してみてください。

副業収入が増えると、それに伴って特別徴収額も上がるので、企業側にも副業の意思を伝えていることが重要です。特に副業を始める前は、事前に会社に許可を取るなど、きちんと申告をしましょう。

榎本希

副業がアルバイトなどの給与所得である場合は2社以上から給与をもらっていることになるため、確定申告が必要になります。

副業が給与所得以外の場合には「収入-経費」の金額が20万円以上の場合、確定申告が必要になります。

また、個人事業主として副業を行っている場合で青色申告を利用するような場合にも確定申告が必要になります。

住民税は所得割と均等割から構成されているため、所得が増えれば住民税も増えます。

確定申告時に少しでも節税する方法

副業での所得が増えると、納税額も大きくなります。しかし、適正な方法で納税額を抑えることができれば、節税することも可能です。

そこで、確定申告で納付額を確定させるにあたって、少しでも節税する方法について説明します。

毎日の経費精算が肝心

副業における所得の多くは、雑所得や事業所得となります。基本的には、副業にかかった経費を計上し収入から差し引くことができます。

経費であるかどうかのポイントは、副業で収入を得るために必要な費用であったかどうかという点です。収入を得るに不必要な支出は、認められません。

日々の活動にかかる経費にはさまざまなものがあります。これを見逃して確定申告すると、不要な税金の納付につながるのです。毎日の経費精算を心掛け、しっかりと管理し賢く申告しましょう。

確定申告は青色申告特別控除を利用する

確定申告には『白色申告』と『青色申告』があります。青色申告は、白色申告と比べて10万円控除、65万円控除がありますので、高い節税効果が期待できます。

青色申告は、複式簿記によって取引を管理する必要があります。そのため、申告の手続きや帳簿の付け方が面倒だと感じる人もいるでしょう。

しかし、所得内容に応じて65万円または10万円の控除を受けられる『青色申告特別控除』の節税効果も得られます。メリットの大きな青色申告を活用するのも一つの方法ではないでしょうか。

榎本希

青色申告特別控除は令和2年度分より原則として55万円となりました。

最大65万円の控除を受けるためにはe-Taxの利用などの要件を満たす必要があります。

節税効果を上げるためにもe-taxの活用はおススメです。

その他にも、経費を日頃から清算しておくことや、ふるさと納税などの寄付金、医療費が年間10万円以上の場合には医療費控除、医療費は10万円以上ではないが、ドラックストアなどで指定の医薬品を1万2000円以上購入している場合などはセルフメディケーション税制の活用をすることにより節税することができます。

まとめ

副業での所得が20万円を超えた時点から確定申告が必要になります。そして、所得が上がっていくにつれ、納付すべき税額も上昇する場合があるのです。

確定申告では、青色申告を行い特別控除を受けるなど、節税につなげることもできます。確定申告の知識を養い、正しい納税を心掛けましょう。

榎本希 [監修]

医療機関・医大の研究室にて長年勤務をした後、行政書士試験を受験。医療系許認可をメインに扱う行政書士として、行政書士のぞみ事務所を開業。再生医療関係の許認可・診療所開設・医療広告ガイドラインに基づく医療広告のチェック等の他、任意後見・契約書作成・起業支援を扱う。

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