フリーランスが支払う社会保険の内訳と金額は?予算を確保しておこう

会社員を辞めて起業した場合、フリーランスとなります。しかし、フリーランスとして働く場合、社会保険はすべて自分で納付しなければなりません。社会保険の種類や、フリーランスが入れる保険について紹介します。さらに、社会保険にかかる金額や予算確保の重要性についても考察してみましょう。

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フリーランスの社会保険

フリーランスとして働くなら保険はすべて自己負担となりますが、どのような保険に加入する必要があるのでしょうか。

それではフリーランスと社会保険について紹介します。

社会保険の種類

社会保険には、次のような種類があります。

  • 医療保険:医療保険とはけがや病気になった人に対して保障をする制度
  • 年金保険:老後の生活を保障する制度
  • 介護保険:は高齢者や介護が必要な人を保障する制度
  • 雇用保険:労働者の雇用の安定や促進のための制度
  • 労災保険:仕事中や通勤中に事故に対し保障を行う制度

会社員ならこれらの保険はすべて会社がバックアップしてくれますが、個人で仕事をするフリーランスの場合、その恩恵は受けられません。フリーランスが加入しなければならない保険については、次の項で詳しく紹介します。

フリーランスが加入できる社会保険

フリーランスが加入できる保険は、上記の中でも『医療保険』『年金保険』『介護保険』です。また、業務によっては『労災保険』の加入も認められるケースがあります。

まず、健康保険の『国民健康保険』、年金保険の『国民年金』、さらに40歳を超えれば、『介護保険』への加入は必須です。「加入しない」という選択肢はないため、早めに市区町村窓口で手続きを取りましょう。

ただし、会社を辞めても2年間は会社員時代と同じ健康保険組合に加入することが可能です。しばらく同じ保険に留まりたい人は、退職前に該当保険組合に問い合わせることをおすすめします。

また、フリーランスの業種によっては、会社と同様の『健康保険組合』に加入できるケースもあります。例えば『文芸美術国民健康保組合』は、日本国内に住所を持ち、文芸、美術や著作活動を行っている人を対象とした保険組合です。この組合に加盟している団体に所属している場合は、加入を検討してみるとよいでしょう。

公式HP:文芸美術国民健康保険組合

加入希望しても入れない保険がある

フリーランスが加入出来ない保険としては、雇用保険と労災保険、さらに厚生年金保険があります。

雇用保険は『労働者の雇用の安定や促進のために作られた制度』、また、厚生年金は『対象者が会社員に限られる』ため、自分で事業を行うフリーランスは該当しません。さらに、労災保険も同様にフリーランスは対象外です。

ただし、業種によっては厚生労働省が認める『特別加入者』として、労災保険への加入が認められることもあります。こちらは主に労務災害等に合う危険の高い職業が対象ですが、該当する業種の人は、加入を検討するのもよいでしょう。

社会保険料はいくら?どうやって決まる?

社会保険料を把握しておくことも、フリーランスには重要です。社会保険料はどのように決まるのか見てみましょう。

保険により金額や計算方法が異なる

国民年金に加入している人は、収入に関係無く1カ月一律で1万6340円(平成30年度)を納めねばなりません。

一方、国民健康保険については各自治体によって保険料率が異なり、世帯所得に応じて金額が決まる『所得割』と加入者数に応じて金額が決まる『均等割』を合わせたものが、世帯あたりの国民健康保険料として徴収されます。

ただし、固定資産税額を元に保険料を算出する自治体もあるなど、計算方法は様々です自分のケースについて正確な金額を把握したいなら、まずは最寄りの自治体に問い合わせることをおすすめします。

支払いスケジュール

社会保険を支払う時期については、一括か分割かを選ぶことが可能です。

一括できる期間については国民健康保険が『1年分』であるのに対し、国民年金は『2年分』です。また、分割を希望した場合は、毎月2つの保険をコツコツと支払うことになります。どちらの支払いスケジュールを選択するかは、収入の入る時期やタイミングを考慮して選びましょう。

ちなみに、納付書が送付されるのは、国民健康保険は6月頃、国民年金は4月頃です。

社会保険の理解と把握は必須

フリーランスとして収入が増えたように見えても、社会保険料を引くとマイナスになるケースもあります。社会保険料として出て行くお金について正確な金額を把握しておくことは、事業の状態を把握する上で重要なことといえるでしょう。

保険料分のお金を残す必要がある

納付義務のある社会保険料については、『絶対に必要な経費』として確保しておく必要があります。

さらに、個人で生命保険や健康保険などに加入している場合は、そのぶんのお金も必要です。『毎月の使えるお金』を考える際は、すべての保険料分をまず差し引いて、残ったお金でやりくりしていかねばなりません。

確定申告で社会保険料控除を受けられる

支払った国民年金や国民健康保険は経費に出来ませんが、『社会保険料控除』の対象となります。その年に支払った保険料の全額が控除となるので、支払証明書はきちんと保管し、確定申告時には正確に記入しましょう。

収入次第で扶養にも入ることを検討

フリーランスとしての収入が130万円未満なら、社会保険に加入する家族の扶養に入った方が、メリットは大きいでしょう。

ただし、家族が加入している健康保険組合によっては、個人事業主は不可だったり、月額収入の上限が設けられていたりします。扶養になれるかどうかについては、まずは組合に確認してみることが必要です。

まとめ

会社のバックアップがないフリーランスの場合、もしものための備えは自分で行わねばなりません。国民年金と国民健康保険は、生活が不安定になりがちなフリーランスにとっては重要な保険です。収入が少なくても支払は義務づけられているため、『固定費』としてきちんとプールしておきましょう。

また、保険料の負担が大きいと感じるなら、家族の扶養に入ることも検討した方がよいかもしれません。フリーランスとしての収入を考える際は、額面通りではなく、社会保険料として出て行く金額を差し引いてみることが必要です。

國弘泰治 [監修]

ファイナンシャルプランナーとして個人ではiDeCoやNISA以外にも不動産投資や保険などを目的(所得税対策や相続対策など)に応じて行っています。個人だけでなくMBA(経営学修士)を取得しているファイナンシャルプランナーとして法人のファイナンシャルプランニングや事業承継にも従事しております。

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