確定申告が必要な人
確定申告は1年間の所得を申告し、「住民税」と「所得税」を納めるためにおこなうものです。サラリーマンなど企業と直接雇用契約を結んでいる人の場合、住民税や所得税に関する手続きは会社でおこなってくれるため、確定申告の必要はありません。
しかし、本業以外に副業による所得が一定以上ある人の場合には、確定申告をして副業分の税金を納める必要があります。
本業以外の収入が20万円以上
本業以外の収入が20万円以上の人は確定申告をする必要があります。本業以外の会社でアルバイトをしている人の場合には「給与所得」となり、収入が20万円以上なら対象となります。
ただ、副業が内職やクラウドソーシングなどの場合には「事業所得」もしくは「雑所得」となり、収入から経費を引いた額が20万円以上なら確定申告の対象です。例えば、収入が30万円だったとしても経費が20万円かかっていれば、所得は10万円しかないため申告の対象とはなりません。
いくつかの副業をおこなっている場合には、1つの副業に対して20万円以上ではなく、本業以外のすべてを合算した額が20万円以上となりますので注意しましょう。
経費の計算方法
10種類ある所得のうち「事業所得」「雑所得」「不動産所得」の3つは経費が認められます。経費は副業をするのに必要なものが対象になりますが、自宅で副業をしているとプライベートと兼用で使っているものも多いでしょう。
副業のためだけに用意した仕事道具や、物販なら材料費や仕入れ代などは100%の額が経費の対象となります。しかし、自宅の一部を仕事場として使用している場合や、1つの携帯電話を仕事とプライベート両方で使っている場合など、仕事で使っている割合の分だけが経費の対象です。
これを「家事按分」といい、「支払額×仕事で使っている割合(%)」で計算します。例えば、家賃が8万円の賃貸物件に住んでおりは、仕事用のスペースがそのうちの25%だった場合には、2万円分が経費の対象となります。家賃などは「面積」の割合で計算しますが、光熱費や通信費などは「時間」の割合で計算するのです。
20万円以下でも住民税の申告は必要
副業の所得金額が20万円以下なら、所得税を納めるための確定申告は不要です。しかし、住民税の申告は、20万円以下であっても必ずしなければなりません。確定申告は税務署が申告先ですが、確定申告をせず住民税だけ申告する場合には、住んでいる市町村が申告先になります。
所得税は確定申告の際に一緒に納めますが、住民税は確定申告後に税務署から市町村に納税額の通知が行きます。市町村から会社へ通知が行き給与から毎月天引きされるか、市町村から自宅に納付書が届いて自分で納めることになるのです。
榎本希
副業を行っていて確定申告が必要な所得の目安は副業所得が20万円以上となります。
所得とは「売上-経費」で計算します。
また、副業の内容によっては原稿料や講演料など源泉徴収されている報酬の場合には確定申告を行った方が過払いの源泉徴収が返還されるケースもあります。
その他、医療費控除や住宅ローン控除などを受ける場合には確定申告が必要です。
サラリーマンが確定申告で副業がばれる仕組み
サラリーマンの場合には副業がばれてしまう原因はいくつか考えられますが、「住民税」からばれるケースと「無申告」からばれてしまうケースが多いです。
住民税の増額
サラリーマンの場合、確定申告をする際に住民税の徴収方法を「給与から差引き」にしてしまうと、住民税の金額が副業分も上乗せされて本業の会社に通知されます。会社の給与に対し明らかに住民税の額が増えてしまっていれば、会社に副業をしていることがばれてしまう可能性が高くなります。
確定申告の無申告
確定申告が必要なのに申告していなかった場合、本来納めなければならなかった住民税や所得税を納めていないことになるため、「脱税」になります。無申告の期間や税金の額などに応じて、「無申告加算税」や「延滞税」などが課せられることになります。
額が大きければ会社の給与を差し押さえられてしまう可能性もあり、こうした経緯で会社に副業がばれてしまうこともあるのです。確定申告によって会社に副業がばれることが心配だからといって無申告でいると、もっと深刻な事態を招いてしまうことになるため、正しく申告しなければなりません。
副業がばれないように確定申告をする方法
会社に副業がばれないようにするためには、副業分の住民税の通知が会社に行かないように手続きする必要があります。本業分の住民税は給与から天引きされますが、副業分の住民税は自分で市町村に納めるようにするのです。
榎本希
会社員が副業を行っている場合、自分で副業を行っている事を社内の人に話したりする以外で会社に知られる可能性があるのは住民税の増加が原因の1つです。
住民税は会社からもらう給与から天引きされている会社員がほとんどでしょう。そのため、昇給等で本業の所得が上がったり、引っ越しをした等の理由がないにも関わらず住民税が増額していると副業収入があると気づかれるきっかけになります。
普通徴収に切り替える書き方
確定申告をする際、申告書第二表に「給与所得以外の所得に係る住民税の徴収方法の選択」という枠があります。そこでは「給与から差引き(特別徴収)」か「自分で納付(普通徴収)」のどちらかを選択するようになっています。「自分で納付」を選べば市町村へ自分で直接納付することができるようになるのです。
確定申告の必要がなく住民税の申告だけをする場合も同様で、市町村によって用紙は異なりますが「普通徴収」を選択し提出します。このような手続きをとることによって、住民税の納税額が確定したあと自宅に納付書が送付されてくるようになります。
普通徴収に切り替えられないケース
確定申告や市町村に住民税の申告をすることによって普通徴収に切り替える手続きをおこなったとしても、特別徴収されてしまうケースもあります。特別徴収されてしまうと、会社に副業がばれてしまう可能性が高くなるので、注意しなければいけません。
ふるさと納税など控除がある
ふるさと納税や住宅ローン減税などの控除がある場合には、特別徴収の対象となる可能性があります。副業によって収入が増え、住民税の額も増えると、ふるさと納税で寄付できる上限額も多くなります。
しかし、ふるさと納税による減税額が副業分の住民税を上回ってしまうと、普通徴収する分を超えてしまい、特別徴収で還付されることになってしまうのです。
副業が給与所得
副業がアルバイトなど給与所得である場合には、普通徴収の欄にチェックを入れて申告したとしても、特別徴収となるケースが多いです。確定申告の申告書にも、普通徴収を選択する枠には「給与所得以外の所得に係る住民税の徴収方法の選択」と記載されています。
「給与所得以外」となっていますので、給与所得の場合は基本的に普通徴収を選択することはできないのです。市町村によっては特別な理由があれば普通徴収にしてくれるケースもあるのですが、ほとんどの場合は特別徴収となってしまいます。
どうしても会社に住民税の通知が行くことを避けたい場合には、本業分の住民税も普通徴収にすることで、会社に住民税額を知られずに済みます。ただし、そうするためには会社に申し出て手続きしてもらわなくてはいけないので、その際に副業をしているのではと疑われる場合もあります。
榎本希
副業を会社に知られたくない場合には確定申告の際に住民税の納付方法を「普通徴収」に選択することで市区町村から住民税の納付書が送付され自分で住民税の納付を行う事ができます。
しかし、自治体によっては特別徴収を推奨している自治体もある点や、副業の所得が給与所得の場合には「普通徴収」にできない場合もあります。
1度お住まいの地域の役所へ確認をしておくと良いでしょう。
まとめ
確定申告のタイミングは副業が最もばれやすいタイミングです。正しく確定申告をして、快適な副業ライフをおくりましょう。