所得38万円以上ある場合は確定申告が必要
フリーランスが所得38万円以上になると、確定申告が必要です。確定申告しなかった場合、ペナルティが課される場合もありますので、適切に処理することが大切になります。
収入から経費を引いたものが所得
確定申告をするべきかどうか判断するためには、1年間の所得がいくらかを計算します。所得と収入は似ていますが、違うものです。
- 収入=1年間の売上の合計
- 所得=収入-必要経費
収入から必要経費を引いた金額が38万円以上になった場合には、確定申告を忘れずにします。もしも収入から必要経費を引いた金額が38万円より少なかった場合には、確定申告の必要はありません。
例えば、1年間の売上の合計が100万円で、必要経費が40万円だった場合、所得は60万円となり確定申告が必要です。一方、1年間の売上の合計が1000万円で、必要経費が980万円だった場合、所得は20万円ですので確定申告は必要ありません。
ただし、確定申告には納税額を決定する以外に、年間の収支の証明としての機能もあります。そのため、確定申告が必須ではない所得でも、手続きすることで証明としての利用が可能です。
※税制改正され、2020年分から、基礎控除額が38万円から48万円に引き上げられます。2020年分からの確定申告については、38万円から48万円に変わるのでご注意ください。
確定申告をしないとペナルティもある
確定申告をしなければいけないのにしていなかった場合、追徴課税や罰金といったペナルティを受けます。確定申告をしていないと、悪質で犯罪とみなされるケースもあるのです。
ペナルティ | ペナルティの内容 |
無申告加算税 | 税額50万円まで:15%を乗じた金額
税額50万円を超える部分:20%を乗じた金額 |
延滞税 | その年によって異なります。 |
重加算税 | 特に悪質な場合に課されます。 |
税金の無申告は犯罪です。そのため確定申告をしないままの状態が、特に悪質と判断された場合には、犯罪として罰せられる可能性もあります。その場合『1年以下の懲役または50万円以下の罰金』もしくは『5年以下の懲役または500万円以下の罰金』となります。
フリーランスになったら確定申告を正しく行い、きちんと納税することが大切です。
確定申告を助けてくれる会計ソフトの種類
フリーランスは確定申告の手続きを、全て1人で行うというケースが多いものです。そこで上手に活用したいのが、会計ソフトです。
会計ソフトには大きく分けて、インストール型とクラウド型があります。自分に合った会計ソフトの種類を選べば、確定申告にかかる手間を省き、スムーズな処理が可能です。
インストール型とは
インストール型の会計ソフトは、パソコンにインストールして使います。量販店などでパッケージとして販売されているものや、ダウンロード版をインターネットで購入して使うタイプです。
インストールしたパソコンでしか使えないので、使用環境が限られてしまいます。しかし、事業の実態に合わせたカスタマイズができるなど、経理の知識がある方にとっては使い勝手が良いでしょう。
クラウド型とは
クラウド型の会計ソフトは、パソコンへのインストールをせず、インターネット上でログインして使います。そのため、パソコンだけでなく、スマホやタブレットでの作業が可能です。備品を買って、スマホでその場で帳簿づけする、といった使い方もできます。
また、2人以上で同時に同じ画面を見ながら打合せ、といった使い方も可能です。電話会議など離れた場所でやり取りしている場合でも、同じ画面を共有できるので理解しやすいでしょう。
画面表示や操作が分かりやすいのも魅力です。複雑なカスタマイズには不向きですが、その分、誰にでも扱いやすくなっています。経理の知識がない方でも、簡単に使えるので、初心者でもすぐに使える会計ソフトです。
インストール型のメリット、デメリット
インストール型の会計ソフトには、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。それぞれ解説します。
メリット
インストール型のメリットには、オフラインで使用するので操作がサクサクできる、ということなどがあります。ここでは特に、インストール型の多機能な点をメリットとして紹介します。
クラウドよりサクサク使える
インストール型のメリットはネット環境に影響されず、サクサク使えることです。クラウド型の会計ソフトの場合、ネットにつなげて作業を行うためどうしても、動きもネット環境に左右されがちです。またそもそもネット環境のないところでは利用することさえままなりません。
しかし、インストール型であればそのようにネット環境に左右されることなく利用することができます。
デメリット
インストール型には、パソコンを買い替えるときの移行やバックアップの手間、などのデメリットがあります。その中でも、ここでは法令改正によるアップデートが必要な点について解説します。
法令改正で都度アップデートが必要
会計や税金に関する法令は毎年のように改正されています。そのため、インストール型の会計ソフトは、法令改正に合わせてアップデートをしなければいけません。アップデートせずにいると法令に合わないので、会計ソフトとして正常に機能しないからです。
法令改正によるアップデートが必要な場合は、サポートセンターから通知があります。しかし自動でアップデートされるわけではありませんので、万一通知を見逃したままだと、誤った書類を作成してしまうこともあり得ます。
また、アップデートごとに費用が発生するというのもデメリットです。会計ソフトによりますが、1~3万円ほどかかります。
クラウド型のメリット、デメリット
クラウド型の会計ソフトについて、メリット・デメリットを解説します。
メリット
クラウド型は初心者でも分かりやすい工夫がされているというメリットがあります。中でも便利なのは、金融機関などのサービスとの連携です。
自動仕分けや新サービスとの連携が便利
クラウド型は、クレジットカードや銀行口座の情報を登録することで、取引明細を自動で取りこめるようになります。その結果、ワンクリックで仕分けができてしまうのです。
こうした連携の機能は、銀行・クレジットカード・POSレジや請求書システムはもちろん、通販や電子マネーの決済でも利用できます。連携できるサービスが増え、入力の手間を省くことにつながっているのです。
また、これらの自動で読み込んだ明細を、過去の履歴から自動で仕分ける機能も、精度があがってきています。使えば使うほど学習し、使い勝手が向上する仕組みになっているのです。
デメリット
クラウド型のデメリットには、ランニングコストがかかることなどがあげられます。ここでは、インターネット環境がない場所では使えない、という点について解説します。
ネットが使えないとソフトも使用できない
クラウド型はインターネット上でログインして使用しますので、ネットが使えない場所では当然ソフトの使用ができません。
そのため、何かしらのトラブルでインターネットが使えなくなってしまうと、会計処理もできなくなってしまいます。インターネットに不慣れという方の場合、トラブルへの対応に多くの手間と時間を取られてしまうことも考えられるでしょう。また、インターネットの通信状態によっては、操作に時間がかかってしまうこともあるのです。
定期メンテナンスの際にも、ソフトは使えなくなります。事前の通知や、利用が少ない時間帯に行うなど、配慮はされます。しかし一時的に使用できない時間帯がある、という点はデメリットです。
まとめ
フリーランスの確定申告は所得38万円以上で必須になります。そこで、会計ソフトを利用して、手間を省きながら処理していくのがおすすめです。会計ソフトには、カスタマイズが便利なインストール型と、初心者にも分かりやすいクラウド型があります。自分に合ったソフトを選び、スムーズな確定申告を行いましょう。
※2020年分以降の確定申告は所得48万円以上で必須になります。