副業にかかる税金にはどんな種類がある?
副業を始める時、面倒な問題が税金です。会社勤務の場合、今までは会社が住民税や厚生年金の一部などの税金を払ってくれていましたが、副業を始めると確定申告をしなければならないのに加え、住民税なども追加で払う必要が生じる場合があります。
副業をするにあたって疑問に思うような税金の基本的な内容を確認していきましょう。
収入と所得の違い
収入と所得の違いは、経費を差し引いた前か、後かの違いです。個人事業主の場合、原稿料などの事業で得た売上が収入で、そこから経費や控除額を引いた後のものが、所得となります。
具体的には、給与の場合は給料の総額、源泉徴収票の支払い金額が収入です。ここから給与所得控除を計算し、引いたものが所得に当たります。
事業所得として扱われる場合は、収入と言えばほぼ売上を指し、入ってきた金額そのままが収入です。そこから必要経費を計算し、差し引いたものが所得に該当します。
所得税と住民税
所得税は、個人の所得へ対してかかる税金です。1年ごと、所得全てから、所得控除を引いた残り、課税所得に対し税率を計算した金額です。
課税所得の金額に応じて、195万円までの場合は5%、330万円までの場合は税率10%など、税率や控除額が異なります。
住民税は、住んでいる都道府県や市区町村に対して支払う税金です。課税所得に住民税の税率約10%をかけた金額と、均等割額を足したものが、住民税の金額になります。
また、均等割額は住んでいる自治体によって異なりますので、注意をしましょう。
榎本希
収入とは簡単に言えば手元に入ってきた金額です。
例えば50万円の物を売った場合には50万円が収入となります。
対して所得とは収入から経費を引いた物をいいます。
例えば50万円の物を売るために商品の仕入れなどに30万円の経費がかかっていた場合には50万円から30万円を引いた20万円が所得となります。
所得税と住民税の違いは、所得税は所得に対してかかる税金であるのに対し、住民税は所得割と均等割からなる1月1日に住所がある自治体に支払う税金です。
所得区分を理解しよう
所得は、それを得た方法・性質によって分けられるものとなっています。
- 利子所得
- 配当所得
- 不動産所得
- 事業所得
- 給与所得
- 退職所得
- 山林所得
- 譲渡所得
- 一時所得
- 雑所得
上記の10区分があり、それぞれ経費や所得の計算方法が決まっています。
給与所得
給与所得は、勤務先から受け取る給料や、ボーナスなどの賞与、これらの所得のことです。
アルバイトを行っている場合も、基本的に給与所得になりますが、アルバイトの中には業務委託となるケースもあり、こうした場合は雑所得になります。
大事なのは雇用されているのか、あるいは委託なのかで、勤務先に雇用されて給与を支給されている場合は給与所得となります。
事業所得
事業所得は何らかの事業による所得です。農業や漁業から、製造・卸売・小売・サービス業まで、事業から発生する所得は事業所得になります。
事業所得かどうかは、事業として判断されるかどうか次第です。ネットショップの経営やまとめサイトの運営なども事業として判断されるケースがあります。事業所得となった場合は経費が計上できる代わりに、確定申告を行う必要があるのです。
また、事業であっても不動産を貸し付けて得た所得や、山林の譲渡などの別区分になります。フリーランスであってもアルバイトがメインになってしまっている場合は、フリーランスとしての収入は事業所得でなく雑所得になるのです。
雑所得
雑所得は、給与所得や事業所得を含め、他の9区分の所得全てに該当しない所得のことです。主に年金や利子、本業が文筆業以外の人が受け取る原稿料や印税、講演料や謝礼金などが、雑所得に該当します。
また前述のように、事業として認められていない事業で得た所得も、雑所得として扱われます。
榎本希
所得は10種類に区分されています。
・給与所得(会社員などが給与として受け取る所得)
・不動産所得(土地や建物などの不動産、借地権など不動産上に存する権利、船舶や航空機の貸付けによる所得)
・利子所得(預貯金や公社債の利子並びに公社債投資信託などの収益の分配に係る所得)
・配当所得(株主や出資者が法人から受ける配当などの所得)
・事業所得(事業から生ずる所得)
・退職所得(退職により勤務先から受ける退職手当等による所得)
・山林所得(山林を伐採して譲渡したりすることによる所得)
・譲渡所得(土地や建物、ゴルフ会員権などの資産を譲渡することによって生じる所得)
・一時所得(上記以外のいずれにも該当しないもので営利を目的とする継続的行為から生じる所得以外の労務や薬務の対価、資産の譲渡による対価としての性質を有しない一時の所得)
・雑所得(上記の所得のいずれにも該当しない所得)
副業で100万円稼いだら税金は?
副業で100万円を稼いだ場合、税金を払う必要があることは確実です。しかし、その金額やかかってくる税率などは、本業の収入などによって変わってきます。
また、確定申告も必ずしなければなりませんので、注意をしましょう。
所得区分によって税率と控除額は変わる
同じ所得額でも、所得区分によって課税金額が異なるため、税率が変わります。まず確認しなければならないのは、副業によって得ている収入の所得区分です。
既に触れた通り、アルバイトなら給与所得に、副業が事業として認められているケースなら事業所得です。その他の場合は雑所得になります。
この3つの所得区分のうち、給与所得と事業所得には控除があり、給与所得は給与の金額に応じた金額になります。
事業所得なら青色申告をした場合に、最大で65万円までが経費として計上可能となっています。控除額及び経費を引いた分が課税の対象となるため、税率が変わってくることを押さえておきましょう。
20万円以上稼ぐと確定申告の義務が発生
確定申告では、所得が20万円以上ある場合は確定申告の義務が発生します。副業の場合はおおむね雑所得となるので、20万円を超えたら確定申告する必要が出てくることは覚えておきましょう。
また、主婦や学生の場合は38万円を超えると扶養控除外になる可能性もあります。事業所得扱いとなっているケースでも、38万円以上から確定申告する必要があるのです。
令和2年分より配偶者控除も基礎控除と同様48万円となります。
青色申告を活用して税金をおさえる
確定申告には『青色申告』と『白色申告』の2種類ありますが、比較すると青色申告なら10万円と65万円の控除が受けられるため、青色申告なら税金を抑えることが可能です。
令和2年分より青色申告特別控除は原則55万円ですがe-Tax利用などの要件を満たした場合には65万円となります。
一方、青色申告は複式簿記で記入する必要があり、会計ソフトなどを使わない限り記入が難しい側面もあるので、時間が惜しいなら、比較的簡単な白色申告を選択してしまうのも一つの方法ではないでしょうか。
榎本希
副業の所得が給与である場合には本業の給与所得と合算した金額から給与所得控除55万円が引かれることとなります。
しかし、副業が事業所得である場合には給与分は給与所得控除55万円、事業所得については「収入-経費」から青色申告であれば要件を満たした場合には65万円の控除が受けられます。
本業の収入が300万円とした場合
副業での収入が例えば給与所得で100万円の場合には副業と合計した400万円から給与所得控除55万円と基礎控除48万円を引いた金額は297万円となります。
しかし副業が事業所得かつ青色申告で65万円の控除が受けられる場合には副業所得(収入から経費を引いた金額)が同じ100万円であった場合、そこから青色申告特別控除65万円が引かれ35万円となります。
本業の300万円-給与所得控除55万円=245万円+副業分35万円から基礎控除48万円を引いた金額は232万円となります。
まとめ
所得と収入の違いから、実際にかかってくる税率や、確定申告まで触れてきました。
何かとややこしいことの多い税金ですが、制度を理解し、逆に活用出来るようになると得な部分もあります。しっかりと理解した上で、副業をしてみることをおすすめします。